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この女

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甲坂礼司、釜ヶ崎で働く青年。二谷結子を主人公に小説を書いてくれと頼まれる。二谷結子、二谷啓太の妻。神戸・三宮のホテルに一人で住み、つかみ所がない女。二谷啓太、チープ・ルネッサンスを標榜するホテルチェーンのオーナー。小説の依頼主。大輔、甲坂礼司に小説書きのバイト話を持ってきた大学生。礼司に神戸の住まいを提供。松ちゃん、釜ヶ崎の名物男。礼司が頼りにし、なにかと相談するおっちゃん。敦、二谷結子の弟。興信所経営。結子のためなら何でもする直情型の気のいい男。震災前夜、神戸と大阪を舞台に繰り広げられる冒険恋愛小説。


森絵都さんの本です。
 
東日本大震災の起こった後のタイミングとして、もっと悲壮感溢れる話なのかなと思ったのだけれども、ちょっとイメージとは違っていた気がしました。
 
森さん、実は児童文学作品から森さんの作品のファンになった私としては、大人向け小説にシフトしていく事に違和感と作品の楽しめなさがどんどん増していって、実は児童文学以外の作品はあまり好きではありませんでした。
それでも義務感?から森さんの大人向けの作品は読んできたけれど、語り手が女性の話、基本的に全部自分には合わなかったんですよね・・・。
 
という訳で、こんなタイトルだし、不思議なイラストだし、全然期待せずに読み始めました。
 
驚いたのが、それなりに厚みがある本なのに、物凄い勢いでさくさくと読めること。
関西弁の主人公達のテンポの良い会話、人間味溢れる個性豊かな登場人物達がとても魅力的で、ぐいぐい惹きこまれたのです。
 
ただ、やはりタイトルで損をしている感が否めないような。
読み終わっても「この女」というタイトルがしっくりこないのです。
まあ、読んだらちゃんと「この女」のタイトルである意味なども分かってはくるのですがね・・・。
 
そして私は理解力が乏しいので、プロローグ(前章)として書かれた物語とラストのその後が上手く繋がらなかったんです。
結局、どうなって、ここに繋がるの?と。
これは私の理解力不足にあるのですが、はっきりと書かれていないからこその余韻があるのかもしれませんが、私にはこのフェードアウトしていく結末だけがしっくりきませんでした。
 
それと、新興宗教にはまってしまった友人のその後や、二谷の思惑や結局結子は二谷から逃れられたのか?とか、中途半端に終わってしまっているエピソードがちらほらあって、何だか気になって仕方ありません。
 
全体として本当に読みやすくて、味のある登場人物達とストーリー展開はとても良かったので、最後だけがどうもしっくりこないのでした。
 
これは好みにもよると思いますけどね。