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白椿はなぜ散った

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望川貴は幼稚園で出会った日仏混血の少女・万里枝プティに心を奪われ、二人は永遠の絆で結ばれていると確信する。小中高大学と同じ学校で過ごし、大学でも同じ文学サークルへ入会するが、そこで出会った大財閥の御曹司が万里枝に急接近する。貴は凡庸な容姿の自分とは違い、驚くほどの美貌を誇る異父兄・木村晴彦に、万里枝を誘惑するよう依頼する。貴の計画は成功するかに見えたが―。錯綜する愛憎。はたして真実の絆はどこに。


岸田るりこさんの本です。
 
とにかく、意外性とラストが読めない点で度肝を抜かれた作品でした。
書店で見かけて気になっていた本だったのかな。初めて読んだ作家さんです。
予約したまま忘れていて、どういうジャンルの本なのか分からないまま読み始めて、最初は「すばる新人賞」とかそっち系の作風で(いわゆる学生モノの青春小説系というか)、第一章では、主人公の貴が運命的に出会った万里枝と、いかに永遠の絆で結ばれ大切にしているか、という事が貴の目線で語られます。
 
現在から過去を語っていること、万里枝との間に撮り返しのつかない何かが起こった事を匂わせながら、それでも単純に青春恋愛小説だろう、と高をくくって読んでいたら、第二章から急展開。
 
作品の映画化が決まっている有名作家が、盗作をネタにゆすられるシーンから、そこで巻き込まれる殺人事件が絡んできます。
殺人の容疑者となった有名作家の恋人の女性が、作家の潔白を証明するたびに事件の真相を追います。
 
盗作の元ネタとなった作品は、10年前にとある大学のサークルで発表されていた小説だったこと。
そこに複雑に絡み合う人間関係と、真実が浮き彫りになっていき――


いうなれば、「悲恋ミステリ」でしょうか。
 
結論から言ってしまうと、個人的に学生モノの青春小説が大好きなので、そこに+ミステリが合わさった本作、大変好みでした。
 
どうしようもないくらい、すれ違う貴と万里枝の気持ち。
本当はこうだったのに、どうしてあの時――!と最終章の万里枝の手紙で真実が明かされ、切なくてもどかしくて、なんて馬鹿なんだ!と悲しくなりました。
 
第一章の貴が万里枝に対して運命を感じてから、髪の毛を集めて束にして抱きしめて寝ていたりとか、切った爪を集めて持っていたりとか、半分変態チックな感じなのですが、まあそれは第二章からガラリと変わる雰囲気を考えたらなんて事のない一節なのです(笑)
まあ普通に考えたら十分怪しいですけどね。
 
予測のできないストーリー展開、という意外性にとても驚かされました。
読み飽きる暇がないくらい、次はどうなってしまうのか?というドキドキ感。
 
ぜひ読んでみてください!