連続する幼女誘事件の捜査が難航し、窮地に立たされる捜査一課長。若手キャリアの課長を巡って警察内部に不協和音が生じ、マスコミは彼の私生活をすっぱ抜く。こうした状況にあって、事態は新しい局面を迎えるが……。人は耐えがたい悲しみに慟哭する――新興宗教や現代の家族愛を題材に内奥の痛切な叫びを描破した、鮮烈デビュー作。
貫井徳郎さんの本です。
貫井さん、名前だけは知っている作家さんでしたが、何となく読むタイミングを逃して読んだ事がなかったのであります。
いつも本を貸してくれる上司から、会社の同僚のお薦めらしいけどまだ読んでいないから先に読んでいいよと言われて(笑)、早速借りて読んでみました。
最後の最後まで、これがデビュー作だと思わずに読んでおりました。
だって、文章が上手い!というか、非常に読みやすくて驚きました。
そして、こういうどんでん返しの展開(ミスリードだとは!)だとつゆとも知らずに読んでいたので、突然どんでん返されてとにかく目が点状態でした。
ちょこちょこ読み進めていたのですが、結構時間がかかってしまったせいもあるかな。
これはぜひ、一気に読み進めていただきたい。そうしないと、最後のどんでん返しに気付かないから。
警察組織の、キャリアとノンキャリアの問題。
信仰宗教の実態と現実。
子供を亡くした親の狂気。
まあ主にそんな内容がメインなのですが、まったくもって時間軸を気にせず読んでいたら結末で驚く羽目になりましたよ。
ただ、警察組織の問題と宗教関連、二つの視点で物語が展開されていくのですが、結局問題提訴してみたものの、はっきりとした答えは出ていない中途半端さがある印象。
なので、最後の最後までどうもしっくりこないというか、すっきりしないというか・・・。
しかしながら、これがデビュー作であるのならば大健闘だなあとも思えたりして。
また、親が子供を亡くした時の憤りや悲しみが、別の意味で何とも物悲しく読み手に迫ってくるのでした。
その部分では、かなり余韻を残した作品。
貫井さん、思いがけず読みやすかったので、ぜひ他の作品にもチャレンジしてみたいと思います!