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そしてベルナは星になった

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つらい闘病生活を終え、今は夫・幸治さんの腕に静かに抱かれて眠ったようなベルナ…。おだやかな早春の光の中を走る車中で、私はベルナと暮らしたもう二度と戻ることのない、かけがえのない日々を思い出すのでした…。『ベルナのしっぽ』未収録のエピソードに加え、思いのこもった短歌を各話ごとに収録。著者と盲導犬・ベルナの出会いから、最期を看取るまでの13年間の日々をつづった愛と感動の物語。


郡司ななえさんの本です。
 
このシリーズ?も、上司に借りて3冊目。
前回や前々回に読んだものと全く同じものが収録されていたり、ちょっとまんねり感があるなあーと思いつつ、読み終える頃にはいつの間にか胸が苦しくなるほどの気持ちに変わっているのが不思議です。
 
中途失明者である郡司さんと、10年以上も郡司さんの目となって共に行動してきた盲導犬のベルナ。
 
目の見えない郡司さんに出来た初めての子供が、ベルナであり、そしてその弟になる幹太君を身ごもった頃のお話から、同じく目の見えないご主人の幸治さんを亡くし、更に盲導犬のガーランドを若くして亡くすという不幸に次々と見舞われる中で、新たなパートナーであるペリラとの出会いまでが語られます。
 
一つ一つのお話の末尾には、短歌かな? それが綴られているのですが、これがまたぐっとくるんです。
 
本当に自分の子供のようにずっと一緒にいて、お互いに信頼して支え合ってきた存在が、老いという避けられない現実にぶち当たり、辛い現実を受け止めなければいけなくなった時、こんな風に本当の人間のようにベルナが郡司さんやその家族と心を通わせているという事実が何よりも尊いものに思えてきて・・・泣けます。
 
飾らない、そしてとても丁寧な文章は読みやすく好感も持てます。
 
絶対に泣ける!と言われている恋愛小説には泣けないのに、真実を丁寧に語ったこの本では思わず目頭が熱くなります。
読みやすいので未読の方はぜひ。