母親にひっぱられて、中学生の沢崎瞬太が訪れたのは、王子稲荷ふもとの商店街に開店したあやしい占いの店「陰陽屋」。店主はホストあがりのイケメンにせ陰陽師。アルバイトでやとわれた瞬太は、じつはキツネの耳と尻尾を持つ拾われ妖狐。妙なとりあわせのへっぽこコンビがお客さまのお悩み解決に東奔西走。店をとりまく人情に、癒やされるほのぼのミステリ。単行本未収録の番外編「大きな桜の木の下で」収録。
天野頌子さんの本です。
図書館でたまたま見かけた作品でした。
シリーズものらしく、もう1冊借りているのですが、面白くなかったら読まないかも・・・と思っていた気持ちは杞憂に終わりました。
癖のない文章が読みやすいし、いささか突っ込みどころはあるとしても、エンターテインメントと割り切ってしまえば、愛すべきキャラクター達が目白押しで、面白い設定に満足している自分がいました。
元ホストのイケメンエセ陰陽師である、阿部祥明(あべのしょうめい)と、その祥明の元でアルバイトをさせられる羽目になった、中学三年にして妖狐である沢崎瞬太。
顔は良いが口が悪くて瞬太をこき使う祥明と、反抗しながらも何か可愛くて抱きしめたくなる天然狐耳を持った瞬太のコンビは本人達をよそに、なかなか良いコンビっぷりを発揮しています。
陰陽師の知識は十分に持っているけれど、全く本気で占っていないはずなのに、何故か物ごとが解決している不思議!
各章毎にさらっと読めるので良いですし、妖狐と知っていながらも見て見ぬふりをして愛されている瞬太の姿を垣間見ることができる番外編も良い味を出していました。
自分に少しでも縁のある地が舞台となっているのも、また違った目で見る事ができて良いですね。
こんな素敵な町だったのかー的な(笑)
気負わず、楽しく読めるという点でこれは誰にでも楽しんでもらえる作品なのではないでしょうか?
面白かったです。