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四龍海城

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健太郎の家の近くの海に、ずっと前から不気味な塔が建っている。地図にもインターネットにも載っていない、謎の建物。夏休みの最初の午後、憂鬱な気持ちで海岸にいた健太郎は、気が付くとその塔に「さらわれ」ていた。そこには感情がなくなった人々の群、閉じ込められた十数人の大人たち、そして昏い目をした少年、貴希がいた。健太郎と貴希は次第に心を通わせ、塔を出るための「出城料」を共に探し始める…。少年たちのある夏、切なすぎる冒険譚。


乾ルカさんの最新刊。
 
乾さん、コンスタントに作品を発表されていて凄いなあと思います。
毎度新作が出る度に読ませてもらっているのですが、一筋縄ではいかない・・・なんて言ったらいいのだろう?味がある作品を描く方だと思っているのですが。
 
日常の中に潜む、普通ならあり得ない事、の中にもしかしたらありえるかも?と思わせてくれる、摩訶不思議な話――なんだろ、何処か伝説や言い伝えめいた不思議をさらっと日常に取り入れてしまえる人だと思います。


夏休みには必ずといっていいほど、きつくその場所には近づいてはいけないとされる場所に、ふいに「さらわれ」てしまった健太郎
 
そこは、何をしていてもされても動じることのない、感情を失った人間が暮らす場所だった。
この場所に「さわわれ」てきた人、迷い込んでしまった人などが集まる場所へと案内された健太郎は、自己紹介でコンプレックスを抱いていた吃音をさらしてしまっても、決して笑わなかった貴希という少年と出会う。
 
友達という友達もいなかった健太郎が、強く惹かれる貴希と二人、この場所を出るための方法「出城料」を突き止めるために調べ始める。
 
後から入城した大学生の関と共に、少しずつその謎を解くカギを掴み始めたのだが――


乾さんの話が、何処か影を持った雰囲気を持つものが多くても、それでも悲しいばかりで終わらないのは、ひとえに登場人物の魅力というのが大きいのではないかと思います。
 
健太郎と貴希、関というそれぞれ個性を持った愛すべきキャラクター達に好感をいただいたので、読んでいてもとても微笑ましく思えました(特に関の明るさ、奔放さは救われました!)
 
ラストが何とも切ないけれど・・・・
今回も満足して読む事ができました。次回作にも期待してしまいます!