No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

小夜しぐれ

イメージ 1
 
季節が春から夏へと移ろい始める如月のある日。日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪の顔を見るなり泣き始めた。美緒の話によると、伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせるために縁談を進めているというのだ。それは、美緒が恋心を寄せる医師、源斉との縁談ではないらしい。果たして、美緒の縁談の相手とは!?――(第三話『小夜しぐれ』)。表題作の他、つる家の主・種市と亡き娘おつるの過去が明かされる『迷い蟹』、『夢宵桜』、『嘉祥』の全四話を収録。恋の行方も大きな展開を見せる、書き下ろし大好評シリーズ第五弾!!


高田郁さんの「みをつくし料理帖」シリーズ第五弾。
 
予約してもなかなかきません。
最近書店でもかなり推されている人気シリーズですが、今回も泣かされました。
 
どんなに面白いシリーズものでも、長く続けて行くうちに微妙になることの方が多くないですか?
だけどこのシリーズに限ってそんなことはありません。
 
今のところ、5冊中5冊共が素晴らしい。
 
・奉公先のつる家の主人・種市の愛娘・おつるを亡くしたきっかけとなった過去
・澪の幼な馴染・あさひ太夫こと野江との距離
・美緒の思い人・源斉への叶わない恋と、予期せぬ縁談
・澪が密かに想う相手・小松原の澪への気持ち
 
要約するとこのような内容の4編が、今回も澪が精進込めて作るとんでもなく美味しそうな料理と共に展開していきます。
 
特に私の涙腺を刺激するのは、澪と野江の途方もない距離を実感させられた時と、身分違いの恋と分かっているのに、少しでも小松原のそばにいられる時を楽しみに待ち続ける澪の恋心にきゅーっと胸を締め付けられて、涙腺が緩んでしまうのです。
 
そして今回は種市の、おつるにまつわる悲しい過去も入ってきたり、美緒が思い人と結ばれる事無く縁談を受け入れるところなど、とにかく胸が痛くて痛くて。
 
それでも、今回初めて小松原の気持ちを具体的に描いてくれましたね。
澪を「下がり眉」とからかいつつ、何かと気にかけている小松原の真意が少しだけ覗けましたね。
 
少なからず全く見込みはないという訳ではなさそうだけど、身分の差が何処まで障害になるのか・・・
ここは小松原の妹に、何としてでも頑張ってもらいたいところですね!(笑)
 
既に第六弾も発売していますね。うー早く読みたい!
 
高田さん、今回も本当に良い作品を届けてくれました。