No-music.No-life

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レイジ

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音楽の才能は普通だが、世渡り上手なワタル。才能に恵まれるも、孤独に苦しみ続ける礼二。少年から大人へ―男たちのロック魂が交差する音楽青春エンターテインメント。


誉田哲也さんの本です。
 
「武士道」シリーズのように、正反対のタイプ男の子同士で、「疾風ガール」シリーズのバンドの話を、更にマニアックにしたような感じの話でした。
 
この作品は、音楽――特にバンドが好きな人や、一度は楽器の演奏をしたことがある人にはたまらなく面白いと思います。
そう、私は少しばかりバンドをやる側でかじっていたし、見る側では今でも現役ですから、割と面白く読めたのですが・・・
いかんせんマニアック過ぎて、ちょっと音楽というジャンルに興味がない人にとっては読みづらいし退屈かもしれません。
 
世渡り上手のワタルと、才能はあるのに孤独感を募らせるレイジの対象的な男の子の語りで、交互に続きます。
 
中学のバンド結成から解散、音楽に携わりながらも現実的になっていく大人まで。
ワタルタイプはちょっと苦手だなあーと思っていたら、大人になるにつれてレイジの方がダメ人間っぽくなっていく対比もある意味面白かったです。
 
個人的には、美少女の梨央とワタルがあっさりと上手く行き過ぎたのが不満ですけどね(笑)
 
良い音楽でも、それを時代の波に乗せる事ができなかったり、なんていうかタイミングによりけりなのかもしれないけど、「きっとこの時代だったら成功して売れていたのではないか?」と思うタイミングで、ブームに乗れずに終わってしまう良いバンドが一体どれだけいたのでしょう。
 
そういう意味で、長い時間をかけてあの結果を生みだす事ができた「レイジ」は、読み手にとっても嬉しくなりました。
まあ、こんな上手いこといかないのが人生ではあるのですが。