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ワーキング・ホリデー

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元ヤン・ホストが宅配便(特別仕様車)ドライバーに転身!?血気さかんな若者と所帯じみた小学生、親子と仕事と仲間によるひと夏の贈り物。


坂木司さんの本です。
 
「和菓子のアン」「ホテルジューシー」と働く女の子を描く作品を読んできた私にとって、本作は意外性があって面白く読めました。
 
坂木さんと言えば、働く人を主人公に生き生きと物語を描く方というイメージです。
 
本作は、元ヤンのホスト(!)の元に、突然小学生の男の子が「お父さんに会いに」訪ねてくる所から始まります。
思い当たるのは、苦い思い出の残る別れ方をした彼女との間に出来た子供なのだろうということ。
 
ホストをクビになり、肉体労働系の宅配便のドライバー(リヤカーだけど)に転職した主人公のヤマト。
夏休みの間だけ、ひょんなことから息子と二人暮らしをしながら過ごす事になったヤマトが、少しずつ息子の存在に感化されていきます。
 
小学生のくせに、妙に所帯じみた「お母さん」のようにしっかりした子供である息子。
典型的な良い子であるが故に、別れ際に見せる態度が何だか妙に鼻にツンとくるんです。
 
元ヤンで元ホストのくせに(偏見だけど)、心根はとても優しいヤマト。
最初は口うるさい母親のような息子に辟易していたはずなのに、家に帰ったらご飯を作って待っていてくれる健気な態度に、いつしか幸せをかみしめる日々に変わっていくのが温かいです。
 
 
口の悪い元ホストのヤマトの一人称で進んで行くので、さらっと読みやすいです。
前に読んだ2作と比較すると、このヤマトのノリの軽さというか(笑)、憎めない感じは愛されるキャラクターだなあと思います。
息子もめちゃくちゃいいやつですし!
 
今後、元彼女との復縁という展開はあるのか?個性豊かなサブキャラ達の今後も気になり、このまま終わってしまったのがちょっと残念。
けれど、肩肘張らずにさらっと気軽に読める話です。面白かったです!