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連続殺人鬼カエル男

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マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは? どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。


「さよならドビュッシー」の中山七里さんの本です。
 
『史上初! 最終候補にダブルエントリーされ、「こっちを読みたい!」という声が続出した話題作。『さよならドビュッシー』『おやすみラフマニノフ』に続く中山七里の最新刊。『このミス』ファン待望の作品が、満を持して登場!』
という説明文から分かります通り、私も兼ねてから読んでみたいと思っていた、デビュー作で同時に最終選考に残ったという、「さよなら~」とは全く違ったアプローチで迫る作品が本作だったのですね!
 
書店で文庫が発売されたのを見かけたのですが、可愛らしいカエルがナイフを持って血がついてるし、人が倒れてるし、凄い不穏な装丁&このタイトルのちぐはぐさ。
完全にジャケ買いはしそうにもない見た目だったのですが、中山七里さんの作品ということで気になっていて、図書館で予約していました。
 
元々のタイトルは「災厄の季節」であるのですが、タイトルは変えなくても良かったんじゃ・・・と余計なお世話ながら思いつつ。
 
で、前置きは長くなりましたが・・・・いやーもう、凄いとしか言いようがない。
 
①死体・暴力・虐待描写のリアルさ、グロさ
②「さよならドビュッシー」とは180度違う作風
③どんでん返しにつぐ、どんでん返し
④何処かで使い古された展開と思いつつ、何故か引き込まれて続きがやけに気になる
 
という、色々な意味で凄い作品でした。
 
ある程度グロいのは読んでいても平気だと思っていましたが、暴力(というか、攻防というか・・・)シーンが冗長でリアル過ぎて、想像して吐きそうになりましたけどね(笑)
そういうシーンが無駄に長かったのは私好みではなかったですが、やはり総合的に考えたら、4.5点でした。
 
とにかく、この作家さん・・・タダものではないですよ。
これだけの作品を、同時期に2作品も書きあげる筆力。
これからもどんどん伸びて行くのだろうし、引き出しが多いという印象。
色々な作風を書ける人なんじゃないかなあ。
道尾秀介さんとか、あさのあつこさんとか、誉田哲也さんとかみたいに。
 
そして何より素晴らしかったのは、最後の最後のどんでん返しね!
道尾さんの「ラットマン」並みにうわー!って思いました。
伏線が散りばめられていて、注意して読んでいたのに・・・。こうくるとはなあ。。。
 
前半、
二重人格やら残虐性を秘めた二面性やら、父親からの虐待や子供への虐待などなど、最早真新しくもないような展開が続くので、期待していなかったのですが、それでも何故かページをめくる手は止まりませんでした。
そういった意味でも、何か凄い魅力というか「魔力」?が秘められた作品だったかと思います。
 
「さよならドビュッシー」で中山七里さんを知った人、ファンになった人にはぜひともこちらも読んでみてほしいです。
この作家さんの素晴らしい可能性と才能を目の当たりにすることができるかも。