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アトポス

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虚栄の都・ハリウッドに血で爛(ただ)れた顔の「怪物」が出没する。ホラー作家が首を切断され、嬰児が次々と誘拐される事件の真相は何か。女優レオナ松崎が主演の映画『サロメ』の撮影が行われる水の砂漠・死海でも惨劇は繰り返され、甦る吸血鬼の恐怖に御手洗潔が立ち向う。ここにミステリの新たな地平が開かれた。


島田荘司さんの御手洗潔シリーズ。

前回読んだ「ハリウッド~」は、松崎レオナがメインで御手洗は電話口に少し登場するくらいでしたが(海外に行ってしまった御手洗はほとんどそんな登場の仕方しかしませんね)、今回も三分の一はレオナが登場します。

レオナはある一連の殺人事件の重要参考人、というか容疑者なのですから!
でも御手洗ファンの私にも嬉しい、生身の御手洗がきちんと登場します。
殺人容疑をかけられた美女を救いにきたナイトとして!
しかも馬に乗ってやってくるんですからたまりません(笑)


レオナの告白から始まるプロローグ、ハンガリーの身分の高い女性の奇妙な一生の物語の長い序章、古い時代の中国を舞台にした話を挟み、レオナが主演女優として撮影に臨んだ現代へと話が進んでいきます。

長い序章は特に興味深くて面白く、ぞっともして、ページをめくる手が止まらなかったです。
解説含め、979Pの大作。
金曜夜からずっと読んでました。中盤は中弛みな感じもありましたが、レオナと御手洗の最後の掛け合いには胸が苦しくなりました。

奇抜で個性派で変わり者のレオナ。
富も名声も何でも手に入れたかのように見えた美貌の持ち主の孤独。
その孤独の原因に、御手洗が深く関係していると思われる部分が多く、何とも言えないせつない気分になるのです。

それにしても、こんなにミステリアスな女性はなかなかいませんね。
レオナが犯人じゃなかったら誰なの?というくらい怪しいですから(笑)

読みごたえたっぷり。満足です!