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白いしるし

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失恋ばかりの、私の体。私は彼のことが、本当に、好きだった。32歳。気づいたら、恋に落ちていた。軽い気持ちだった、知らなかった、奪えると思った。なのに、彼と関係を持ってから、私は笑えなくなった。恋は終わる。でも、想いは輝く。極上の失恋小説。


西加奈子さんの本です。

西さんは気づいたらさりげなく新作が出ているので、思い出したように読んだりします。

本作は、大人の恋がテーマ。
絵を描く事を生業としている女性が、心を捕らえられてしまった男性への、痛くて苦しくもどかしい…狂おしいほどの感情が伝わります。

何があった、という訳ではないのです。
でも、誰かをどうしようもないほど好きになってしまう苦しさが、物凄く伝わって来て、読んでいて息苦しささえ覚えました。

まじまの、一線を引いている感じが物悲しい。
触れられる距離にいながら、全てを手に入れる事は決してできないと悟るような恋は…苦しいです。

大人の恋は、若い頃のように気楽にはできない。
慎重に、大切にしようと思えば思うほど、壊れやすくて脆い。
西さんの文章から、どうしようもない程、恋焦がれる苦しさと喜びが伝わってました。

この雰囲気、痺れます!