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夜行観覧車

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父親が被害者で母親が加害者--。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。


湊かなえさんの本です。
 
予約して大分待ったなあ。
 
レビューを見ると、評価が分かれているようではありますが・・・個人的には今までで一番安心して読み終える事ができた作品だった気がします。
 
「告白」以下、湊さんはハイペースで作品を発表されていますが、どうも系統が似ている話が多い気がして。
なんていうか、後味の悪い作品ばかり。
いや、私の中で湊さんほど後味の悪い作品を書ける人はいないって思っているのですが、これは決してけなしている訳ではなくて、後味が悪いのに何故か引きこまれる魔力みたいなものがある方だと思うのですよ。
 
だから最後まで気が抜けないと言うか、おどろおどろしい気持ちが抜けないというか、構えてしまうというか。
 
一瞬たりとも油断ができない感じ、と言ったら良いのかな。
 
だけれども、本作では相変わらずのどろどろ、おどろおどろしさ満載の話ではあるのに、それでも救いみたいな、ちょっとだけ差し込む光、みたいな・・・なんて言ったらいいんでしょう、
捉えようによっては、前向きな終わり方だったような気がするんですよね。
全く救いがないという今までの作品とは違っていて。
 
ただ、どうしても「湊さん=後味が悪いアンハッピーエンド」のイメージが強くて、本作では珍しくとても良い人として描かれていた比奈子の友人一家を、本当に良い家族なの?と疑ってかかってしまう自分がいたのが・・・なんとも複雑でした(実際本当に良い家族だったのだが・(笑))。
 
それにしても・・・本当に小生意気な中学生を書くのが上手い作家ですよね。
悪意なく発する言葉の一つ一つや、容易く他人につけるあだ名一つを取ってみても、ぞっとする程タチの悪さを感じて本気で今時の子が怖くなりますよ。
 
例え幸せそうに見える家族でも、角度を変えれば様々な問題を抱えている。
一線を越えるか、越えないかはほんの些細なきっかけや偶然が重なったに過ぎない。
 
ある意味で背筋が寒くなる作品でもありました。