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田舎の紳士服店のモデルの妻

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田舎行きに戸惑い、夫とすれ違い、子育てに迷い、恋に胸騒がせる。じんわりと胸にしみてゆく、愛おしい「普通の私」の物語。


宮下奈都さんの本です。
 
今回はまたちょっと変わった設定のお話。
29歳の主人公は、二児の母。電撃的に出会った夫との穏やかな結婚生活を過ごしていたが、突然うつ病と診断された夫が、「会社を辞めて田舎に帰る」と言い出し、生活がガラリと変わってしまう。
 
何もない田舎。
ご近所との仲の良さ、地域との連携、自由な校風――
東京では決してなかった生活に飛び込む事になり、見えてきたものは・・・


東京から田舎に引っ越した人は、いかに田舎というものが不便であるかを実感するのだろう。
 
特にこの主人公のように、他人から見たら順風満帆な生活をしてきた人にとっては。
 
発育が遅れていると懸念してしまう次男、無口な長男、うつ病の夫。
 
「人より綺麗」という取り柄だけで生きてきた主人公は、都会を離れてみて初めて自分には何が残っているのだろうと向き合う事になる。
 
一人の女として、母として、妻として。
見つけ出したその答えは・・・・
 
 
もし自分が万が一結婚できて、子供ができたとしたら・・・
物凄くこの主人公に共感し過ぎてシンクロしてしまいました。
 
初対面で笑わない人が苦手であるとか、愛想笑いしてしまうとか、
 
多分自分の時間を持つことで何とか保っているギリギリのラインで踏ん張っている私は、自分の時間が取られたら途端に崩れてしまうような気がするのです。
 
劇的な何か、なんてないけれど、
こうして穏やかに暮らせる日々が大切だって事に妙に気付かされた一冊でした。
 
それにしても、タイトルはもうちょっと何とかならなかったんですかね(笑)?