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レインレイン・ボウ

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昔のチームメイトの通夜で久しぶりに集まった陶子たち7人。来なかったのは一人だけ…。7人の視点を通して語られる、それぞれの人生。女たちの友情と成長を描き爽やかな読後感を残す青春ストーリー。


加納朋子さんの本です。
 
最近少しずつ加納さんの作品を読み始めました。
「モノレールねこ」のイメージが凄く強いんですけど、加納さんはミステリ畑の作家さんなのですね。
 
温かみがあって癖のない文章は読みやすく、そして日常のミステリを鮮やかに描く方、というイメージです。
本作はあまり期待していなかったのですが・・・
 
確かにミステリとしては弱いかもしれません。
ミステリというよりは、うん、「青春ストーリー」なのかも。
 
高校時代に同じソフト部で活動していた7人の女性の主人公の目線で追った、連作短編。
 
一つ一つの作品に好き嫌いはあるものの、読後感のこの爽やかさと温かさを感じるラストには心が温まりました。
 
個人的には
「サマー・オレンジ・ピール」「ひよこ色の天使」「雨上がりの藍の色」「青い空と小鳥」が良かったです。
特に「雨上がりの~」はくすくす笑いそうになってしまうくらい爽快でした。
この主人公と食堂のおばちゃんとのわだかまりが解けていく感じは読んでいてすっきりしたなあ。
そして山本4号とのあの結末には思わずニヤリ。
 
人それぞれ抱えている想いや、人に見せない姿があって。
それを一人一人の違う人間の視点で丁寧に描いている。
短編なのに、一冊で色々な人間の強さ、弱さ、傲慢さ――色々な部分を垣間見たような気持ちになる作品でした。
 
何だろう、少し時間を置いてまた読み直したいと思うような作品でした。
 
いつもの加納さんのイメージとはちょっと違った作品でしたが、なかなかの良作です!