青葉樹は東京の下町にある松華学園高校の二年生。幼馴染の真夏にバカにされながらも、江戸文化研究会に所属している。その部長である高原明日奈と副部長の佐々木信幸が、夏休み、相次いで失踪した。それを聞いて乗り出してきたのが作家志望の元刑事である樹の父親。どうも、息子のクラブの事件以上に、顧問の美人教師・若宮先生に興味があるらしいのだが…。
樋口有介さんの本です。
樋口さんの作品を読むのは何だか久しぶりな気がします。
デビュー作の「ぼくと、ぼくらの夏」を彷彿とさせる舞台設定でしたが、個人的には「ぼくと～」ほど楽しめなかったです。
樋口さんの文章は結構癖があるので、慣れるまで結構時間がかかることと、基本的に「ハードボイルド」な作品が多いので、それが慣れない人や苦手な人には無理だと思うんですよね。
で、一番問題だったのが、青葉・息子と青葉・父の交互に語る展開にも関わらず、全く書き分けができていなかったこと。
最初、青葉・息子から父に切り替わった時に途中まで本気で気付かずに読んでいて、急に時間が飛んだのかと思って戸惑ったくらい。
それと、この語り口は柚木シリーズではプラスに働くと思うのですが、本作では読みにくくてたまらなかったです。
中間までほとんどヒントらしいヒントがなく、ラストで急に展開が覆るのは相変わらず。
何だか読者は置いてけぼりをくらった気分です。
それにしても、樋口さんの小説には美人ばかりが出て来ますが、一度こんなに一気に美人に出会ってみたいものです。
青葉・父が書いている小説は、「ハードボイルド」で、「登場する女が皆美女で、美女にもてる主人公」で、「洗濯が趣味の私立探偵」らしい。
これは・・・柚木草平ですか？(笑)
