みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。なんたって我が家は、六人家族で大変なんだ。えっ、そんなの珍しくないって? まあ聞いてよ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。しかも、飛びっきりアクの強いね。今回も、その一人と一緒に出かけたことから、とんでもない事件に巻き込まれてさ――。
伊坂幸太郎さんの本です。
いやー予約してから手元にくるまで、長かった長かった。
最近の伊坂さんの作品とちょっと趣が異なるな、と感じていたら執筆自体は結構前のものらしいですね。
単行本化するのに時間がかかったようで。
伊坂さんの作品を読むのは久しぶりで、最初は何となく物事の例えの回りくどさに慣れず、1ページにびっしりの文字になかなか進まないもどかしさを覚えながら読んでいました。
伊坂さん、こんなくどい文章を書く人だったかなあとか思いながらね。
数々の伏線から、最後にすっとまとまる感じは、しかし健在でした。
自分の父親がろくでもなかったせいで、4人の個性豊かでそれぞれ異なる父親達を、とてもうらやましく思ってしまいました。
これもそのうち映像化するのかな?
父親達を誰が演じるんだろう?と考えると、なかなか面白い気がします。
伊坂さんが高校生の主人公を書くのは珍しい気がしましたが、やけに達観した男子高校生だったなあと思いつつ、最後は何だかんだと感動したりとそれなりに楽しめた作品でした。