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ロード&ゴー

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元暴走族の過去を持つ消防隊員、生田は、周囲も認めるベテランの運転手。だが、二カ月前に異動してからは、慣れない救急車のハンドルも握らなければならなくなった。そんなある日、路上で倒れていた男を車内に収容したところ、突然、その男、悠木がナイフを手に救急隊員のひとりを人質にとる。同じ頃、警察とTV局に謎の男から犯行声明が入った。男は、悠木の家族を人質にしていることと、悠木に爆弾を持たせていることを告げ、二億円を要求する―。


日明恩さんの本です。
 
消防隊員?
と思ったら、ああ!「鎮火報」「埋み火」のスピンオフ的小説だったみたいですね。
大分前に読んだので、生田と聞いてもすぐに思いだせなかったのですが、さりげなく「大山雄大」の名前が出てきたり(実際少しだけ話に絡んでくる)、懐かしく思って嬉しくなります。
 
「鎮火報」はなかなかおもしろかったのだけど、「埋み火」が何だかくどい感じで微妙だったので、実はあまり期待してませんでした。
 
2作では消防士の話でしたが、救急隊員として救急車のドライバーとして任務を遂行することになった生田を主役にした本作。
 
出勤要請で患者を救急車に収容した途端――家族を人質に取られたという患者である男・悠木が救急隊員の森にナイフを突き付ける。
 
爆弾を載せた救急車。
犯人の指示で目的地として指示される病院まで時間内に辿りつかなければ救急車もろとも爆破すると脅される緊急事態。
 
無線を傍受している女の子、ガセネタばかりの情報に翻弄されるマスコミ、犯人が指定したお金を用意し犯人確保に翻弄する警察――
 
様々な角度から展開していく物語は、くどくなく、テンポが良く読み進める事ができます。
 
救急車の出動など不要と思われるようなことで通報する人が増えている。
そして搬送先の病院が見つからず、命を落とす患者がいるという事実もある――
 
それでも、助かって欲しいと強く思いながら救急隊員を志す人間や、実際に携わっている救急隊員がいるのだということに、気付かされた思いでした。
 
こういう形でも、シリーズとして続けていってくれると嬉しいですね。
なかなかボリュームのある一冊でしたが、読み応え十分で楽しめました。