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さよならドビュッシー

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【『このミステリーがすごい!』大賞(第8回)】ピアニストを目指す遙は、ある日火事に巻き込まれ全身に大火傷を負う。逆境に負けず、ピアニストになることを固く誓った遙はレッスンに励むが、不吉な事件が次々と起こりはじめ、ついには殺人事件までが発生してしまう…。


中山七里さんの本です。
 
図書館で予約していたのですが、地元図書館には誰にも借りられずに置いてありました。
 
このミス大賞は、好んで何度か読んできたのですが・・・・当たり外れが激しい賞、のイメージが強いです。
面白いやつは面白いんだけど、微妙なやつは微妙・・・・。
 
あまり期待せずに読み始めたのですが、なかなかどうして、読みやすくて面白い作品でした。
 
ミステリと音楽スポ根の融合とでもいいましょうか。
一見したら、爽やかな音楽小説のようなのですが、厳しい先生、過酷な運命、周囲からの嫉妬――
と、スポ根要素が満載。
 
そこに今までだったらあり得ない、ミステリ要素が合わさって、音楽ミステリが出来上がりました。
 
随分読みやすいなあと思っていたら、この中山さん、今回の賞では最終候補作に二作も残した凄い方で、一昨年にも最終候補まで残っていたなのだそう。
 
賞は初めてでも、何度も賞に応募し、ようやく受賞したわけで。
こういう作家さんを見ると、自分も頑張らないとなあと思うわけです。
 
ミステリとしては少々弱い部分があるのは気になりますが、最後のどんでん返しにはびっくり。
主要登場人物が少ないので、この人が犯人かしら・・・と思っていた人がまあ、犯人だったのですが・・・・。
しかしまさかこの展開とは。
 
ずっと感じていた違和は、これが原因だったのね!
 
二か所くらい、日本語の表現がおかしい部分があったのが気になりましたが、個人的にはこの作品とは対照的なダークな小説らしい、もう一作の候補作の方も読んでみたいと思いました。
どんでん返しに次ぐ、どんでん返しらしいので。
 
受賞作でこのハイレベルです。
今後の作品がとても楽しみな作家です。
 
そして、第8回はレベルが高い争いだったようです。
このミス!大賞の本には、選評が巻末に掲載されるので、また違った視点から作品を見直すこともできるので良いんですよね。