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心晴日和

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クラスの女子からいじめられ、孤独を感じている14歳の美輝。ある日病院で出会った井之尾という不思議な老人に、「自分のかわりに春を感じるものを見つけて写真に撮ってきてほしい」というお願いをされる。言われるがままに外に出てみると、美輝は今まで殺風景だった通学路に春があふれていることに気がつくのだった。道ばたに咲いている花、車のボンネットで昼寝をする猫、河原で野球をする半袖姿の少年たち…。心が晴れた記念日―その日が美輝の心晴日和になった――


 喜多川泰さんの本です。

 
心晴日和、で「コハルビヨリ」と読むのだそう。
優しげな装丁と、タイトルの柔らかさに惹かれました。
 
こ、これは・・・!
 
言うならば、小説版・自己啓発本とでも言うべきでしょうか。
 
とにかくネガティブ人間な私は、自己啓発本の類が苦手です。
前向きに考えるとか、行動するとか・・・
そんなん簡単にできたら苦労しねえんだよっ!とか思っちゃうタイプなので、まさかこの小説がそういう系だとは微塵も思わず読み始めてしまったのです。
 
しかし、結果的に・・・・今の自分の心境と、主人公美輝の心理が似ていて・・・いつの間にか引き込まれていました。
そして、美輝の何倍も多く生きている老人・井之尾の前向きな自己啓発を促す言葉の数々は、色々な経験を積んできた井之尾のような人間が語っているという設定なので、意外とすっと胸に染みるようでした。
 
あからさまに自分に敵意を向けている人に対して、「(その人のことが)私は大好き!相手も自分を好きでいてくれている」と思う事が、いかに難しいか・・・・。
 
結局、今の自分の境遇は回りまわって自分が原因になって起こっている事なのだ、と言う言い分にはどうしても納得いかなかったりするのですが、確かにネガティブな考え方でいたら、いつまでも幸せなんてこないような気もするのです。
 
素直に頷けないひねくれものの私ですが、大変でも少しずつ少しずつ自分の気持ちに素直に、前向きに過ごしていくことで驚くほど成長し変わって行った美輝の姿に、少しだけだけど勇気をもらったのも事実でした。
 
 
人生、こんな小説のように上手くいくことの方が少ないと思うけど・・・・
私も前向きに考えなくちゃいけないのかもしれない・・・・と、思うのでした。
 
だけど、正直この状況で相手の事を好きだなんて思える人がいたら、拝んでみたいですよ。。。