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家族トランプ

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社会からも、東京からも、家族からも、危うくはぐれそうになっている、30代未婚女性の居場所探しの過程を描いた物語。『汝の名』でブレイクした著者が“脱力系女性”に贈るエール。待望の書き下ろし長編。


明野照葉さんの本です。
 
書店で気になるタイトルだと思い、メモしていたやつでした。
 
家族という言葉が入っているタイトルなので、もっとほんわかあったか系の話かと思ったら、30歳を過ぎても実家暮らしをしている女性・窓子が主人公でした。
 
両親から、
「36歳までに結婚しなさい。もし結婚できなかったら、家を出て行きなさい」と突然言われた事をきっかけに、結婚を進んでしたいと思っている訳ではなかった窓子は、安定はしているものの、役職にもつかず、少ない給料で生活をしている状態では、一人で暮らす事もままならないと不安を覚える。
 
しかし、ひょんなきっかけから、副部長の潮美と話すようになり、単調な毎日が突然鮮やかに変わり始める。
 
下町・三ノ輪に住む潮美は、会社ではバリバリ仕事をこなす女性。
実家の「磯屋」では90歳を超える祖母・70歳に近い両親と3歳下の弟など、平均年齢60歳以上の家族で切り盛りしており、そんな実家への泊まりに誘われたことから、窓子は足繁く「磯屋」へと通うようになる。
 
個性豊かな家族、だけど自分の家族といるよりも居心地の良さを感じている窓子。
狭い世界しか見てこなかった窓子に、光を差し込んだのは潮美。
 
潮美に憧れる気持ちが、
いつしか潮美の家族の一員になるということを考え始めるようになり――


家族トランプ。
 
うむむ。考えさせられる内容でした。
 
しかし、いくら一人娘が結婚できずに心配しているとはいえ、考え方の古い窓子の両親の言葉や、結婚しろという割には、相手を連れてきたらズタボロに言ったりするなど、読んでいてかなり苛々させられました。
 
その点、ズゲズゲモノを言っているようで、ちゃんと相手の事を考えている潮美の家族の繋がりは、心温まるものがありました。
 
ほんわか系ではないのですが、リアルに30歳過ぎても結婚できないだろう道を突っ走りそうな私としては、何だか考えさせられる話でした。
 
ただ、なんかこの窓子の考えというか決断は・・・・それで良いんですか!と突っ込みたくなってしまいましたけれども。
 
普通の小説的展開だったら、窓子のその結論に周囲が反対・または諭したりして、こんな考え方は間違っていたわ・・・っていう感じで終わりそうだと思っていたんですけれども。
 
まあ、これはこれであり・・・なんですかね。
 
タイトルから想像するのとはちょっと、いや、結構印象は違いますが、悪くはなかったです。