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塩の街(文庫版)

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塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。だが―「世界とか、救ってみたくない?」。ある日、そそのかすように囁く者が運命を連れてやってくる。『空の中』『海の底』と並ぶ3部作の第1作にして、有川浩のデビュー作!番外編も完全収録。


 
有川浩さんのデビュー作です。
 
うむむ。
何だろう?
初めて単行本版で読んだ時より、面白く感じなかったのは。
 
自衛隊三部作ということで、その後「空の中」「海の底」と刊行されていった訳ですが、そっちを読んだのは、一度この本を読んだ後だったからっていうのもあるのかな。
 
デビュー作にしては上手いと思うんだけど、その分粗みたいなものが目立つというか。
 
今の有川作品を読んでいると、実に多種多様な作品を書ける方なんだと理解はしているのですが、この自衛隊系の話だと、例えば「図書館戦争」の堂上と小牧みたいな、「海の底」でもそうだし、同じようなタイプの男二人が出てくるんですよね。
女の子もそう。
一見か弱そうだけど、実は芯が通った真っすぐな子・・・みたいな。それは、「海の底」の望もそうだったし。
 
悪い意味でパターン化してしまっている。
 
それと、電撃文庫で刊行しているということと、賞的な問題で、女の子の設定をどうしても10代(確か最初は中学生くらいにしてとか編集から言われたって書いてあったような)にしなければいけなかったらしく、この10歳近い年齢差が逆になんか、嫌~な感じを受けてしまうんですよね。
 
秋庭と真奈の本人達は、お互い好きという気持ちを伝えられなくてもがいているっていう感じで、全然そんな嫌らしいっていうことはないんですけど。
 
どうにもこの主人公たちを好きになれなかったのが原因でしょうか。
 
逆に、自衛隊同士の由美と正の話はとても好きです。
 
飲めないブラックコーヒーを飲めるふりをしてみたり、わざとらしいくらいのアプローチの仕方が、何故か嫌味がないような、正みたいな人って良いなあ(笑)
 
とは言え、有川さんのベタ甘路線の原点ともいうべきこの作品。
読んでみる価値はあると思います。