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陽だまりの彼女

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恋の始まりに、理由なんてない。でも、恋の終わりには、必ず理由がある―。運命の人を、そんなに簡単にあきらめちゃって、いいんですか?中学時代の幼馴染と10年ぶりに再会した俺。冴えないイジメられっ子だった彼女は、驚異の大変身を遂げていた。モテ服にさらさら大人ヘア、しかも、デキる女系。でも彼女、俺には計り知れないとんでもない過去を抱えていて…哀しくて可笑しくてふわふわ心温まる、恋する切なさのすべてがつまった恋愛小説。


越谷オサムさんの本です。
 
越谷さん、これで三作目になります。
 
既読の二作共に凄く良かったのですが、この本のレビューが低い事が気がかりでした。
 
読んでみてすぐ納得。
なんていうか、ありきたりな恋愛小説?っていう印象を受けたのです。
 
とある偶然から、中学時代の同級生の女の子と再会した主人公の男の子。
いじめられっ子で救いようのない程のバカで、気まぐれだった女の子は、すっかり綺麗な仕事のできる女になっていた――
 
中盤あたりまで、とにかく話に真新しさが見当たらず、どうしちゃったのよ越谷さん・・・と心配になってしまうくらい、ページが進まない。
 
いよいよリタイアか・・・すわそんな事を思いながら読み進めていくと、
再会してほどなくして、急展開!
 
まさかの結婚!
 
しかも駆け落ち!
 
ありえんでしょ!と、新婚生活のラブラブっぷりを見せつけられ、そろそろ無理だ・・・もう無理だ・・・と思いながら読み進めていきました。
 
え!
 
3分の2を読み進めてから明らかになる、真緒の秘密。
 
13歳より前の記憶が欠乏していること、初めて真緒を保護した日、裸で歩いていたこと。
さして熱くもない飲み物をふうふうと必死に冷ましていること、ころころ変わる気まぐれな気分屋。日当たりの良い物件を敢えて選択したこと。急に消えた金魚。大量の抜け毛――
 
ヒントは、物語の最初から最後にまで散らばっていたのに、なんで気付かなかったのだろう?
 
何か特殊な能力を持った、異国から、未来から、宇宙から、何処か知らない場所からきた不思議な人物なのか?そんな事を思っていたことは見事に裏切られて、身近にいるあの●●が真緒だったなんて!
 
クライマックスからラストにかけて、驚きでページをめくる手が止まりませんでした。
 
ただ、この展開に至るまでの恋愛小説的な展開には、少々辟易。
 
彼氏彼女のいない妙齢のアラサー世代には、退屈だったのが難点でした。
物語の展開次第でこんなに面白くなることや、越谷さんの文章力や物語の作りの巧さを考えたら、もっと良い作品になったような気もして・・・・。ちょっとばかり残念。
 
しかし、好きな作家の一人になったことは間違いありません。