5人の若者の奇妙な2LDK共同生活を描いた青春小説。いつの時代も現実は厳しい。でもふさわしい自分を演じればそこは、誰もが入れる天国になる。杉本良介21歳、H大学経済学部3年。大垣内琴美23歳、無職。小窪サトル18歳、「夜のお仕事」に勤務。相馬未来24歳、イラストレーター兼雑貨屋店長。伊原直輝28歳、インディペンデントの映画配給会社勤務。5人の生活がオムニバスで綴られる。
吉田修一さんの本です。
先日映画を見たので、原作はどういう感じだったっけ・・・と気になったので再読してみました。
思えば一時吉田さんの作品を結構読んでいた気がするんですけど、最近は全然読んでいなかった気がします。
こんなに読みやすかったっけ?という驚きが。
こんなに読みやすかったっけ?という驚きが。
吉田さんの作品には、自分は好き嫌いがあるようで。
この頃の作品は結構好きで読んでいたような記憶があります。
この頃の作品は結構好きで読んでいたような記憶があります。
さて、原作を読み直してみると・・・映画が、台詞に至るまでかなり忠実に作られていたということが分かります。
特に、原作を読むだけではラストの直輝の章を読むまでは至極平凡な若者達の物語・・・というような印象を受けがちな話を、上手い具合に映像化していたな、やるな行定監督!なんて思うくらい、なかなか良かったのではないでしょうか。
配役を頭の中で動かしながら読んでもそんなに違和感も覚えなかったし、映画としては成功していたのではないかと。
この絶妙な「一緒に住んでいるのに他人同士の薄い繋がり」という事実の書き方!
ネットでの一時の匿名同士の繋がりっていうのが、まさにこの物語に登場する5人の若者達を表していると思います。
事実を知っているうえで、素知らぬふりをして共同生活を送っていたのだとしたら――またそれぞれの登場人物達の捉え方や見方が変わってくるのではないでしょうか。
一見そんな風に見えないのに、実はとても怖い物語なのかもしれません。