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左京区七夕通東入ル

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学生生活も4年目を迎えた七夕の夜、わたしは数学科のキテレツな彼と出会った…。京都を舞台に、学生生活のにぎやかな時間とこぼれそうな恋心をのびやかに描いた恋愛長編。『きらら』掲載を加筆改稿して単行本化。




瀧羽麻子さんの本です。

地元の図書館でこの本の題名を見た時から、ずっと気になっていた本でした。

聞いた事のない作家さんでしたし、不安もあったのですが・・・タイトルと装丁がとても素敵だったので、恐る恐る借りてみました。


うわー!
ヤバい、この文章すごく好き!

本は大体ジャケ借り(?)すると、失敗する確立の方が高い気がするのですが、これはタイトル通り素敵な物語でした。


私の中で、大崎梢さんとか瀬尾まいこさんと似た雰囲気を感じました。
柔らかい文体で、何だかとても癒される。

大学に行っていない私は、大体大学生のキャンパスライフを描いた小説を読むたびにコンプレックスを抱くのですが(笑)、この本はそんな事なかったなあ。

むしろ、こんな大学生活を送ってみたかったなあって、本気でうらやましくなってしまったくらい。




お洒落な文系女子・花が、ブルーベリーをきっかけにして重なった偶然から、自分とはまったく系統の違う数学科の変わった男の子・たっくんと出会う。

周りの子からも、「よりによって、なんであんな男を・・・」と思われるくらい、全く系統の違う男の子で、しかもその子は数学を愛し過ぎてのめりこみ、体を壊すほど。

けれど、どんどん膨らんでいく気持ちに嘘はつけず、距離を少しずつ縮めていく花。

人間のライバルと、実態のないもの(例えば、花の友人の彼氏のように、「大腸菌」が一番大事であるとか、この「数学」より興味の持てるものなんてない、みたいな)がライバルになるのと・・・どっちがマシなんだろう?

同じ部屋にいても、一度没頭してしまったら、存在すら忘れられてしまうくらいって・・・結構辛いと思うなあとか思いながら、だけど気付いたら真っすぐに想いを深めていく花を応援したくなっている。

きっと、片方が社会人になって、片方が院生という立場になったら・・・思っている程現実は厳しかったりするだろうし、東京と京都が例え新幹線で数時間の距離だったとしても、月に何度も通うことは難しくなるだろうとか・・・

将来的な心配を私はしてしまったりする訳だけど。

それでも、
ありふれた話の一つだったかもしれないけど、こんなに爽やかな気持ちになれる話はなかなかないな!


ドントウォーリー・ビーハッピー


春から、新生活を始められる学生さんに、特に読んで欲しい素敵な作品でした。

思いがけぬ良作に出会えて、何だか嬉しかったです。

そして装丁だけでなく、中身にもイラストが描かれていて可愛いですよ!