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スロウハイツの神様(下) <文庫版>

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莉々亜が新たな居住者として加わり、コーキに急接近を始める。少しずつ変わっていく「スロウハイツ」の人間関係。
そんな中、あの事件の直後に128通もの手紙で、潰れそうだったコーキを救った1人の少女に注目が集まる
。彼女は誰なのか。
そして環が受け取った1つの荷物が彼らの時間を動かし始める。




辻村深月さんの本です。

どうしよう、泣いちゃたよ。


※若干ネタバレあります。注意!

初めて読んだ時、それこそ「コーキの天使ちゃん」の正体とその真相が明かされる章にワクワクドキドキした感じはあるのだけど、今回読んだ時程響かなかった。
なのに、何だろう。
謎解きがされていくシーンの一つ一つに、ぐっときて、涙が滲んで止まらなかった。

20代のチヨダ・コーキは、自分の予期しない所である事件に巻き込まれて執筆することが出来なくなった。
そんな空虚な日々を救ったある少女からの何通にも及ぶ手紙。

コーキがその少女のために、まるで「ストーカー」のような行動をしながら、時には「コスプレ」をしたり、「プラズマテレビをあげて」しまったり、「1日3食のケーキを食べる」ことになったり。




一度読んでいるので、結末や真相が頭にある状態で読んでいました。
だけど、それが良かったのかもしれません。

サプライズ的な意味では、やっぱり初めて読む時のような気持ちにはなれない。
だけど、結末を知っているから、この人のこの言動は・・・あのシーンに繋がっているのだな、と思うといつの間にか物語の中に入り込み、登場人物に感情移入して泣いてました。


両思いなのに、とんでもなく遠回りをしている二人。

思った以上に凄い人物だと思わされるコーキ。

上巻では恐ろしくプライドが高くて誇り高く気高いだけの人物のように思えた環の、過去の足枷や閉じ込めてきた感情が、下巻では丁寧に描かれています。
苦手なキャラクタ―っていうのは、やっぱり変わらないけれど、下巻を読み終えた後には・・・何だかちょっとだけ環が好きになっている。

私は、環の妹の桃花が好きですね。
そして、その恋人の狩野も。

下巻の前半のすみれの恋愛には気持ち悪いくらい嫌な気持ちになるけど、そこから這い上がってからのすみれは強くて、凄く素敵だと思います。

結局、鼓動チカラは莉々亜だったのは分かったんですが、幹永舞は、狩野だったということですか?

読解力がなくて、やっぱりまたしばらくしたら読みなおしてみようと思いました。

それにしても、この作品の中ではやっぱり「コウちゃん」より良い男はいないですね。
完全に最後でもってかれます。


そういえばこの本、新刊で買ったのだけど2枚くらい乱丁がありました。
取り替えてもらおう。。