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SOSの猿

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ひきこもりの青年の「悪魔祓い」を依頼された男と、一瞬にして300億円を損失した株誤発注事故の原因を調査する男。そして、斉天大聖・孫悟空ーー。物語は、彼らがつくる。伊坂幸太郎最新長編小説。

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伊坂幸太郎さんの本です。

読んでみて思ったのは、前作「あるキング」が、伊坂作品の中では異質であり、そしていつもと作風を変えて作られた物語だったのだな、という安心感でした。
今作は、伊坂節全開の物語です。安心して読むことが出来ました。

救急車のサイレンを聞くと「どこかで誰かが、痛い痛い、と泣いている」のではないかと、心配し、他人のSOSを感じ取り、助けてあげたいと思ってしまう二郎の視点と、物事の原因をとことん突き止め、常に冷静沈着な五十嵐の視点で進んで行く物語に、西遊記の話が絡み合い、最後に話が繋がる様は…
まさに伊坂マジック!

安定した伊坂作品の、ユニークで爽快な感じがよく出ていました。

ただ、西遊記をあまり詳しくしらない私からすると、作品を100%楽しめない部分があって…それだけが残念でした。

でも、本作はなかなか楽しめたのでほっとしています。
「あるキング」が私的に微妙だったので…本来の伊坂作品に戻った感じなので、ぜひ伊坂さんファンの方も、そのまま安心してこの作品を読んでほしいと思います。

あーでも、多分初期から伊坂さんのファンである人にとっては、最近の作品は受け入れがたい部分はあるのかもしれないですね。

中途半端なファンの私は、とりあえずこの作品を読んで安心したとだけ言っておきましょう。