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初恋ソムリエ

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初恋に秘められた謎(ミステリ)を追え!吹奏楽の“甲子園”—普門館を目指す弱小吹奏楽部で繰り広げられるチカとハルタの名推理。『退出ゲーム』の続編にして青春ミステリの決定版。




初野晴さんの本です。

初野さんの本を読むのは、何だか久しぶりでした。
以前に読んだ「退出ゲーム」の続編なのだそうです。

なんだろう?「退出ゲーム」よりも、今作の方がとても読みやすく感じたんですよね。

<収録作品>
スプリングラフィ
周波数は77.4MHz
アスモデウスの視線
初恋ソムリエ

4篇からなる連作短編なのですが、一章が終わるごとに、吹奏楽部のメンバーが増えていく感覚は・・・なんだかRPGのようで、わくわくしてしまいます。

吹奏楽部経験者である私からみたら、この設定だけでも嬉しいんだけど、一つ一つがミステリというか・・・推理小説みたいになっていて、その謎解きまでの経緯が無理がない設定なのも好感が持てました。


感覚としては、米澤穂信さんの学園ミステリものととても似ています。
しかし米澤さんの本では、結果に至るまでがちょっと独りよがりな印象を受けてしまうのですが(私的な意見ですが)、初野さんのこの作品では全く無理がない感じに仕上がっているのです。

でも、多分米澤さんの作品を読んでいたからこそ、この作品に無理なくすっと入っていけたのではないかな?とも思います。良い意味で慣れたというか。

幼馴染のチカとハルタが、全く同じ人を好き(=つまり、顧問の先生。そして男!の先生)になってしまったことから、バチバチと燃やす時にどうしようもなく思えるような、競争心というか戦いはくすりと笑えるし、脇を支える吹奏楽部の個性的なメンバーも面白いのです。

この調子で部員を増やしていけば、大会A部門への出場も可能になるだろうし、まだまだ続きが書けそうな終わり方だったので、今後も期待していきたいと思います。


でも、カタカナでハルタだと、どうしても「潔く柔く」のハルタが浮かんでしまうよ(笑)