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映画篇

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友情、正義、ロマンス、復讐、そして、笑いと感動―。五つの物語の力が、あなたを救う。今すぐ映画が見たくなる。今すぐ誰かに読ませたくなる。笑いと涙と感動が詰まった、完全無欠のエンターテインメント!書き下ろし最新小説集。




金城一紀さんの本です。

先日読んだ対話篇が思いがけず良い作品だったので、ならばこちらもと慌てて借りてきた本です。


すらすらと読めて、ページ数も少なかった「対話篇」に比べると、厚みの割には内容がびっしりと詰まっていてかなり読むのに時間がかかりました。

でも、とても良い作品でした。

今回のテーマは「映画」

ローマの休日」がキーワードとなっていて、5篇の物語で構成されています。

「ドラゴン怒りの鉄拳」「恋のためらい/フランキーとジョニーもしくは トゥルー・ロマンス」と「愛の泉」が良かったです。


ちょっと入り込みにくいな、という話もあったのですが、特に最後の愛の泉は感動しつつ、思わずニヤリとしてしまったり。

切ないような苦しいような気持になるような話を書いている人なのかな、と思わせておいて、「愛の泉」のように軽快でリズミカルな文章も書ける人なんですねー。金城さん。


そして、この話は「対話篇」に出てきた内容にも絡んでいて、「あーあの鳥越家か!」と思ったり、「これがあの大学なのか」とか、そういう繋がりを見つけると嬉しくなりました。

私の中で、「愛の泉」の鳥越君と司さんの関係と、鳴海ともっさんの関係はかなり憧れます。

鳴海がもっさんに言った言葉

「もっさんを俺のものにするためにこれからどんどんがんばっていくつもりですけど、今日はただ映画を見せたいだけです」

に萌えた・・・・!(笑)


なんでこんなに金城さんの作品を読んでいて、爽やかで甘酸っぱくて切ないような気持になるんだろうと思ったら、恋愛の話でもセックスがどうのこうのっていう言葉は出るとしても、直接的な描写がないこととか、実際に体を重ねる関係になっていなくても、心の繋がりを強く感じる関係を書くのが上手いからなのかなあと、ふと思いました。

男性作家の中で、自分が可愛いと思える女の子を書く人は結構少ないのですが(ちなみに・・・伊坂幸太郎さんと、三崎亜記さんと、中村航さんと、道尾秀介さんくらいでしょうか)、金城さんの書く女の子も相当可愛いです!

満足度たっぷりの一冊でした。