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アシンメトリー

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結婚に強い憧れを抱く女―朋美。結婚という形を選んだ男―治樹。結婚に理想を求める男―貴人。結婚に縛られない女―紗雪。結婚願望の強い朋美はある時、友人の紗雪が突如結婚を決めたことにショックを受けた。紗雪の相手は幼馴染みの治樹。心から祝えない朋美だったが、ふたりの結婚パーティーで出会った年下の貴人と恋仲になる。しかし、紗雪と治樹の結婚には秘密があった…。現代における「結婚」とは何か?アシンメトリー(非対称)な男女4人を描く、珠玉の恋愛小説。




飛鳥井千砂さんの本です。

むむっ!また結婚がテーマの話なのか・・・と読み始めて少しがっかりしました。

前作「サムシングブルー」も結婚がテーマとなった話だったので、もうちょっと設定を変えた方が・・・と思いながら読み進めていったのですが、いやいや結構深い話でした。


結婚を焦る「普通」の朋美。
結婚に執着しない「個性的な」紗雪。
結婚という「逃げ道」を選んだ治樹。
結婚に「完璧な関係」を求める貴人。


読んでいてイライラしたり、気恥かしくなったり、思わず目をそらしてしまいたくなったりしたのは、この4人のどれもに自分自身の一部分が被ったからなのかもしれません。

私は結婚にいいイメージがなくて、結婚を急いでいる訳でもないんだけど、確かに周囲の人間が皆結婚という道を選ぶ事に気遅れを感じるし、いっそ何もかも結婚してしまえば身をゆだねる事が出来るのではないか?と逃げ道として選んでしまいたいような欲がわいてきたりもする訳です。

でも、何だかそれは見苦しいような気もして。

婚カツってがっついているような気がしてしまうし、何だか恥ずかしい気がする。

だけど自分から動かなくちゃ、こんな小説のような偶然の出会いがあるわけもない――


人と人との繋がりや、関係の大切さに気付かされた作品でした。


治樹がいう、「――この人とはいつか別れるのだ、と思いながら付き合いを始める恋人同士なんて、いないと思う。第一、常に別れを意識して付き合うなんて、ちっとも楽しくない。」

という一文があるのだけど、私は誰かと付き合う時にいつもいつも「どうせいつかは別れるんだ」という前提で付き合っている節がある。
だからきっといつかくる終わりを遠くに見ているから、いつも不安定な気持ちのまま楽しめないのだろうとはっとした。

恋愛も、何でだろうね。
大人になればなるほど、どんどん面倒で複雑になっていく気がするんです。

難しいなあ、本当に。