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9の扉 リレー短編集

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「猫」が「コウモリ」を呼び、「コウモリ」が「芸人」を呼ぶ!? たった一言のキーワードが次の物語へと引き継がれ、思いがけない展開を呼ぶこのリレー短編集には、冒険心と遊び心がいっぱい。個性豊かな凄腕ミステリ作家たちが勢ぞろいしたこの本には、最高に愉快な体験がつまっています。豪華執筆人によるチーム力もまた絶妙。「あとがき」までリレー形式にこだわった欲張りな一冊が出来上がりました。




収録:
『くしゅん』北村薫
→『まよい猫』法月綸太郎
→『キラキラコウモリ』殊能将之
→『ブラックジョーク』鳥飼否宇
→『バッド・テイスト麻耶雄嵩
→『依存のお茶会』竹本健治
→『帳尻』貫井徳郎
→『母ちゃん、おれだよ、おれおれ』歌野晶午
→『さくら日和』辻村深月


この本の出版を知ったのは、図書館で読んだウフのリレー小説のアンカー、辻村さんの作品を読んだことがきっかけでした。

その時に読んだ時も、辻村さんの作品は強く心に残りましたが・・・改めてリレーになっていた全部の小説を読んでみて、その繋がりに思わずニヤリ!

特に、最後の辻村さんの作品。
独立して読んでも二つの意味のさくらがこのストーリーの中に映えているんですけど、北村さんの「くしゅん」と繋がる一節に思わず顔がニヤけました。

そして、何気に私が好きな辻村さんへのお題のバトンを渡したのが歌野さんっていうのがまた嬉しい。
相変わらずラストのどんでん返しにはほほう!と唸りをあげてしまいました。


「まよい猫」「ブラックジョーク」から「バッド・テイスト」への繋がり、「帳尻」の不幸の連鎖的展開に惹きつけられて、更にその設定の後日談という形で書きあげた歌野さんの「母ちゃん、おれだよ、おれおれ」も上手い!


リレー小説とは時々聞く言葉ではありますが、読んだのは初めて。

しかもただのアンソロジー小説とかとは違って、どの作家も骨太な物語を書く逸材揃いです。
かなり高度な小説になっています。


ただ・・作家によって、リレーされた物語の設定を引っ張ってきて書いている人と全然関係ないという感じでオリジナルのものを書かれている人といるのですが、読んでいて意外と同じ設定で、別々の作家が書くっていうのも面白く読めたので、いっそそういうリレーでも良かったのではないかな?とも思いました。

特に貫井さんから歌野さんへの流れがとても良かったので!

そして歌野さんがあとがきで語ってる更なる物語の続きもぜひ活字化してもらいたいものです。

更にこのメンバーで、またリレー小説を書いて欲しいなという期待を込めつつ。

骨太で大満足の小説でした。