No-music.No-life

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私の男

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消費されて終わる恋ではなく、人生を搦めとり、心を縛り支配し、死ぬまで離れないと誓える相手がいる不幸と幸福。 優雅で惨めで色気のある淳悟は腐野花(くさりのはな)の養父。物語はアルバムを逆から捲るように、二人の過去へと遡る。震災孤児となった十歳の花を若い淳悟が引き取った。空洞を抱え愛に飢えた親子には、善悪の境も暗い紋別の水平線の彼方。そこで少女を大人に変化させる事件が起き……。黒い冬の海と親子の禁忌を、圧倒する恐さ美しさ、痛みで描ききる著者の真骨頂。お楽しみに!(




桜庭一樹さんの本です。

第138回直木賞受賞作、ということで、いつかきっと読んでみたいと思っていた本でした。
今頃ようやく読む事が出来たのは、地元の図書館に置いてあったからです。ずっと借りられてたみたいですね。


ああ・・・こんな破滅的な関係って・・・どうなんだろうか。

読んだ後、しばらく放心してしまいました。


養父とその娘のこの関係は・・・誰かが介入してきたら一瞬にして壊れてしまいそうな、父が、娘が、どちらかが離れていった瞬間に脆くなくなってしまいそうな。
そんなギリギリのバランスの上に立っているような、この二人の関係が読んでいていつか壊れてしまいそうな気がしてとても怖かったです。


母親と娘とは違う、父親と娘のこの特別な関係というのは私にはちょっとよく分かりません。

父親からの愛情をうけて育った記憶がほぼないまま、もう会う事もない訳ですが、花と淳悟のような関係はちょっと怖い。

数人の人物から語られる章と、現在の状況から過去へ――

私は、花の結婚相手が語る章に一番共鳴した気がします。
彼は多分、一番まっとうな人間なんでしょうね。花と淳悟の関係をいぶかしく思いながらも、何処か惹かれてしまうという・・・


父がいなくなった後、花は一体どうなってしまうのでしょうか。
語られていないその後の花の姿が想像出来なくて、ある意味で私は背筋が冷えてしまいました。