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インシテミル

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結城理久彦は、車がほしかった。須和名祥子は、「滞って」いた。 オカネが欲しいふたりは、時給11万2000円也の怪しげな実験モニターに応募。こうして集まった12人の被験者たちは、館の地階に7日間、閉じ込められることに。 ひとり、またひとりと謎の死を遂げていくが……




米澤穂信さんの本です。

うわー・・・やべえ。面白かった。

二転三転する展開、謎が謎を呼ぶ真相、浮かび上がる疑問、不可思議な殺人事件、極限に追い込まれた人
間達の見せる恐怖・・・




車を買いたいと思い、アルバイト情報誌を手にしていた結城は、普段日常生活で絶対に接点を持たないであろう美人で品の良い雰囲気を持った祥子と出会う。

祥子はいかにもアルバイトなどからは無縁の生活をしているような、高価そうな身なりをしていたが、なにやら物入りでアルバイトを探している様子だ。
求人紙の見方が分からないので、結城に教えてもらおうと声をかけてきたらしい。

そんな中、

時給11万2千円という求人広告を見つける。

途方もない、到底あり得ないだろう金額。
しかし、印刷ミスでないならば本当にこの金額が時給らしい。

半信半疑ではあったが、結城はそのアルバイトに応募することにした。

そして、届いた採用通知。
恭しく迎えられた結城は、そこで祥子と再会する。


その場所に集められたのは、12人。

身も知らない20代前半~30代後半の男女。

そこで行われるのは、24時間体制で監視のもと、ある「実験」をさせるというものだった。


人を1人殺せば報酬が。
殺されても報酬が。
犯人を言い当てる探偵と、その助手には報酬が倍になり、
犯人と指定され「監獄」行きとなると、時給が大幅に軽減される。


一人一人に振り分けられたのは、人を殺すための「武器」


結城は、火かき棒を与えられ、祥子は毒薬を与えられた。


誰も殺さず、ただこの場所で何もしないだけでも自動的に1,800万円を手に入れる事が出来る。

満場一致で何もしないと決めた12人だったが、1人目の死者が出た事により、歯車は狂い始める――




誰がどの武器を持ち、誰があいつを殺したのか――

めちゃくちゃなルール、あり得ない境遇に遭遇した時、疑心暗鬼で極限の状態になった時、人間というのはここまで冷静さを失ってしまうものなのか・・・というのを垣間見た気分でした。


一人一人に武器が渡され、殺し合いをする、なんてちょっとバトルロワイヤルを思い起こさせましたが、それとはまた違って、これがゲームでも何でもなく「モニター」としての「実験」をさせられているという事が一つの異様さを持っています。


食事も、環境も申し分ないものを用意されている。
けれど7日間、外に出ることは出来ない。

夜は決められた時間内に外に出ている事を見回りのロボットに3回以上警告された段階で、殺されてしまう。

用意された「棺桶」ルーム。
メンバーから犯人と名指しされ、過半数の同意を得られた場合に犯人が入れられる「監獄」。


しかし、確実に稼がれている金・・・


何処か斜に構えている風の主人公の結城は、きっと曲者だろうと思っていましたが・・・・
祥子もまた、こういう繋がりを持っているとは!

米澤さんの、今まで数冊読んできた本とはまた違った感じで、こういうのも書くんだ!と意外な思いでしたが、とても面白かったです。
やっぱり上手いなあ。

これは続編も書けそうな感じですね。
ついつい惹きこまれ、夜更かしして読んでしまいました。