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イオニアの風

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偶然のいたずらで“意志”を得た人間たちは、長きにわたり互いに争い血を流し続けていた。時に罰し、時に救い、人間の歴史に介入してきたオリュンポスの神々は、ついに、人間に三つの試練を与え自らの道を選ばせることを決める。運命が用意した試練は、トロイア戦争を巡るふたつ。そして、強大な魔物を巡るひとつ―。人間の未来を拓くため、最後にして最大の難関に挑む、英雄の子テレマコスと美しき吟遊詩人ナウシカアの運命は!?神々の時代から人間の時代から人間の時代へと移りゆく世界を舞台に描く、壮大な愛と冒険の物語。




光原百合さんの本です。

この分厚さ、このボリューム、そして上下段!

一日で半分も読み終える事が出来ず、一体読むのに何日かかってしまうのだろう・・・と途方にくれそうになったのも、序盤だけでした。

ギリシャ神話をモチーフに、千差万別な神々達と、神々と強い関わりのあった時代に生きる人間達の物語です。


神と人間が、深くかかわっていた最古の時代。

様々なものを司る神が、個性豊かで面白いです。
そして、人間に関わって行くことをやめるか、続けるか・・・という判断を、ある3つの賭けによって決める事にした神々。

第一部。

美しく生まれてしまったがゆえ、それを常に運命のせいだと逃げてきた美しき姫君・ヘレネ
同じく美しく生まれてきたが故に、王家の子であるにも関わらず、農家の家で育てられた王子・パリス。

その二人が出会った時、二人が取った行動が国中を巻き込んでの大きな争いを引き起こす事になり――


第二部。

ヘレネが夫・メネラオスとの間に出来た溝を取り戻せるかどうか――

一度は裏切られた夫・メネラオスが出した決断とは・・・


第三部。


第一部の各国を巻き込んだ争いにて、大きな功績を残した名声・オデュッセウスの息子・テレマコスと、パイアキアの王女・ナウシカアが、人間達の命運を分けるある壮大な運命に巻き込まれ――


特に、第三部の話が好きです。

第三部から、俄然面白くなって、続きが気になって気になって。


ギリシャ神話は、ほとんど詳しくないのですが、
プラネタリウムを観たりすると、星の名前には伝説などがあったりしますよね。

そこで、かの有名なメデューサの話や、アンドロメダペルセウスの神話をモチーフにした話が出てきたりするのですが、
それがとても自然な流れで話に組み込まれているので、全然違和感もなく読めます。

光原さんは、私的に日本とか現代とか、現実を舞台にした物語よりも、異世界や外国(架空の日本ではない国とか)を舞台にした話を描くのがとてもうまいと思っています。


前作の銀の犬もかなり良かったですが、こちらも10年近く描き続けてきてようやく完成したというくらいの大作ですが、読み終えて大変満足!


なんですかね、特に第三部の素直じゃない王子と王女のやりとりが微笑ましくてたまりません。
やっぱり光原さんの作品、好きなんです!

また、この作品を読んで、ギリシャ神話にも興味を持ちました。色々読んでみようかな。