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神去なあなあ日常

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高校卒業と同時に三重県の山村に放り込まれた平野勇気19歳。林業の現場に生きる人々の1年間のドラマと勇気の成長を描く。
美人の産地・神去村でチェーンソー片手に山仕事。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来。しかも村には秘密があって…!?林業っておもしれ~!高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う。




三浦しをんさんの本です。

日曜版の新聞でお薦めされていたこの本。
予約して随分経ちましたが、ようやく手元にやって参りました。


三浦さんの本、好き嫌いがあるのですが・・・・これは好きな部類に入ります。
三浦さんはやっぱりちょっと情けないような頼りないような男の子が主人公の話が上手いなあ。


半ば騙されるように、担任教師と母親に19歳の勇気が送り出された先は、三重県の山村。
何の仕事をさせられるのか聞いてもいない状態から辿りついたのは、「林業」。

携帯も通じない、電車も一日に数本しかないような田舎の山村で、何度も脱走を試みる勇気だったが、その度に連れ戻される。

しかし、最初は嫌々やっていた林業だったが、少しずつその気持ちが変化していく――




おっとりとした神去村の人間達は「なあなあ」という言葉をよく使う。
「ゆっくりいこう」「落ち着こう」といった様々な意味で使われるというその言葉が、物語の至る所で使われています。

毎日何かに追われるようにあくせくしている人に、ぜひ読んでほしいと思います。

最近悩む事が多すぎる私は、物語の後半の大木杉のとある儀式の所で思わずニヤケてしまいました。


実際問題、こんな都会の(横浜出身らしい)若者が、突然こんな辺境の地に連れてこられて、林業をやらされることになったら、3日も持たずに逃げ出すのではないでしょうか。

後継者不足も深刻なんだろうなあと思いながら、勇気のような若者がいたらいいのにと思わずには居られません。


「神様」や、「神隠し」の存在は、この物語に出てくる山には本当にいるのかもしれないし、起こりうる事なのかもしれません。

それほどに雄大で、偉大で、大きな存在感でした。