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僕と『彼女』の首なし死体

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冬の朝、渋谷ハチ公前。僕は生首を置きにゆく。『彼女』の願いを叶えるために――。北村薫氏の強力プッシュにより優秀賞を受賞した本作は主人公のキャラクターそのものがまさに「ミステリ」。




白石かおるさんの本です。

なんか違和感があるなあと思ったら、主人公の名前と作者の名前が一緒だったのですね。

2009年(第29回)横溝正史賞の優秀賞に選ばれた作品だそうです。
本屋さんで、色々気になる本のタイトルを見てはメモっておくのですが、このタイトルが印象的だったので借りてみました。

うーん、最初は良かったんだけどなあ。

渋谷ハチ公前に、女性の生首を置いた「犯人」が冒頭から明記されている――
犯人を探す楽しみは既にない。
でも、一気に引き込まれた。

なんで主人公は、女性の生首をそんな場所に置いたのか――?


男が女性を殺した「犯人」である、とそういえば明記されていた訳ではなかったのでした。
男はあくまで「女性の首を切断」した人間であり、決して「殺した」とは言っていないのです。

それでも、この冒頭からすっと読者を引き込みますよね。
だって、前代未聞ですこんなの。


しかし後半、主人公がどうしてそんな行動に出たのか、真犯人がおぼろげに分かってくるにつれて、若干失速した感じがします。

どうにもこうにも、この主人公がサラリーマンっぽくないというか、現実にはこんな奴いないだろうというくらい、淡々としていて何をしても涼しい顔でいるような若造なのです。

だから最後まで主人公を好きになれず、事を起こした動機にしっくりこず・・・冒頭がとても興味深い始まりだっただけに、それがとても残念でした。

また、中盤のトラクターの事とかは別になくても良かったのでは?と思う部分も多く、無駄に長くなって読むのが大変でした。

それでも読みづらいという程文章が下手な訳ではなく、むしろ読みやすかったとは思います。

今後に期待してます。
決して悪くはなかったので。