No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

船に乗れ!(I) 合奏と協奏

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高1春、音楽のできる仲間と澄んだ目の女子に出会った。
音楽一家に生まれた僕・津島サトルは、チェロを学び芸高を受験したものの、あえなく失敗。不本意ながらも新生学園大学附属高校音楽科に進むが、そこで、フルート専攻の伊藤慧と友情を育み、ヴァイオリン専攻の南枝里子に恋をする。
夏休みのオーケストラ合宿、市民オケのエキストラとしての初舞台、南とピアノの北島先生とのトリオ結成、文化祭、オーケストラ発表会と、一年は慌しく過ぎていく。




藤谷治さんの本です。

初めて藤谷さんの作品を読むなあ・・・と思っていたら、いや初めてじゃなかったのでびっくりしました。

小路幸也さん目当てで読んだアンソロジー小説「Heart Beat」に藤谷さんの作品も収録されていたのですね!
読んだはずなのに、全然記憶がないから、その時はそんなに心に響かなかったのかも。
しかもそこに収録している話は、この本の続編っぽいではないですか!

勿体ない事したなあ。
もう一回読もうかしら。


で、何故この本を手にしたかというと。
私の家は、朝日新聞を取っているのですが、日曜版に本の記事が掲載されているのです。
そのうち月に1回くらいの割合で、中高生向けの記事が掲載されていて、そこからよく気になる本などをさらって、後でチェックしようと思ったりするわけです。

その中に、人気の一冊ということで載っていたのがこれでした。

自意識過剰で、自分が他の誰よりも特別で秀でていると意識している高慢な子供。
そんな主人公がオーケストラに挑む事になり・・・云々。


私、音楽(吹奏楽、バンド、オーケストラ、合唱でもなんでも)に携わる中高生、というか、学園モノが大好きな人間なのです。

だから、映画だったら「スウィングガールズ」と「リンダリンダリンダ」(友達に貸したまま、返ってこないDVDの存在を、今久々に思い出した・・・)が大好きです。

本だったら、バンドをやっているという設定とかだとすぐくいつくし、音楽にまつわる物語はとても魅力的ですよね。

今回は、クラシック!

高慢な主人公は、新聞に掲載されていた程高慢な印象は受けなくて、むしろ私はこれくらいの方が共感を覚えたりもするのですが(笹生陽子さんの本に出てくる主人公みたいな、愛らしさがある)、挫折と成長の物語でもあって、どんどん惹きこまれていきました。

ページ数はそんなに多くないのだけど、余白が少ない感じで、びっちり、みっちりな文章も嫌いではないです。
読み応え十分。

主人公の語りが、現在(大人になった状態)からの回想という形で書かれているんだけど、とても読みやすいんですよね。
いい意味でゆるくて、いい意味で青臭い。

シリーズものなのかな?
続きがあるみたいで気になります。


主人公の恋がこの話ではかなり良い雰囲気で終わりますが、続きでは前途多難だったりするんでしょうか。

久々に楽しめた、音楽ものの小説でした。