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贖罪

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取り柄と言えるのはきれいな空気、夕方六時には「グリーンスリーブス」のメロディ。そんな穏やかな田舎町で起きた、惨たらしい美少女殺害事件。犯人と目される男の顔をどうしても思い出せない4人の少女たちに投げつけられた激情の言葉が、彼女たちの運命を大きく狂わせることになる──これで約束は、果たせたことになるのでしょうか?
衝撃のベストセラー『告白』の著者が、悲劇の連鎖の中で「罪」と「贖罪」の意味を問う、迫真の連作ミステリ。本屋大賞受賞後第1作。




湊かなえさんの本です。

前回読んだ少女よりは、かなり楽しんで読めました。

今回は、デビュー作にして本屋大賞1位になった「告白」と同じように、独白をする形で話が進んでいきます。


ある少女が無残に殺され、その現場を目撃してしまった4人の少女。
殺された少女の母親が少女達に向けた言葉が、4人の未来を狂わせていく――


ああ、後味が悪い。
でも、やみつきになる。

序盤から中盤にかけて、その後味の悪さはどんどん膨らんでいき、だけど気付いたらページをめくってしまっている・・・・

後味の悪い小説を書いたら、湊さんの右に出るものはいないんじゃないか、と本気で思います。


しかし、終盤の殺された少女の母親の独白と、終章に納得がいかないんですよね。

何だろうなあ。
どうして殺人犯だった男が、あんな風に少女を殺してしまったのか・・・という理由が分からない。

男が少女と自分の関係を知らずに犯行に及んだのだとしても、男にそういう性的嗜好はなかったのではないか?と思うのです。

確かに過去の出来ごとが男を変えたのだとしても・・・

そういうしっくりこない結末だったのですが、少女4人の運命の歯車が狂っていく様はかなり衝撃を持って読む事が出来たし、私は結構嫌いではないと思いました。


でも、やっぱり話の展開が「告白」を思い起こさせるので、やっぱりこの人は次回も何か作品を書く度に「告白」と比べられてしまうのではないかな・・・と思うと、何とも切なくなりますね。

その作品を越えるような作品を書かない限り、永遠に比較され続ける・・・


その技量は十分にあると思うので、次作はもっと趣向の違ったものにも挑戦してほしいなあと、何様のつもりだよ、という感じですがそう思っている私です。