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世界がぼくを笑っても

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われらが浦沢中学にすごい先生がやってくるってさ――。
北村ハルトは中学2年生。始業式の日、彼の前に現れた1人の先生。軟弱そうでやぼったい。そう、彼こそがハルトのクラスの新担任――小津ケイイチロウ先生、だった!

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笹生陽子さんの本です。

これは児童書に分類されるのかな?

いやあ、やっぱり笹生さんの作品は良いですね。
特に、中学生の男の子が主人公の話!

地味で特に取り柄がないとか、一匹狼で冷めた目で皆から距離を置いてるとか。
パターンは似通ってはいるけど、だからこその安心感がある。

今回の主人公、複雑な家庭環境で育った中2の北村ハルトは、一人でいるのを好む、ちょっと冷めた男の子。

ある日何気なく覗いた裏サイトで、「すごい先生がやってくる」というカキコミを見たハルト。
しかし臨時職員としてやってきたのは、ドジでトロくて冴えない男・オヅちゃんだった-ー


ここまで読むと、オヅちゃんが外見に反して実はやり手の先生だった、とか?と思うのに、3分の2まで読んでも、相変わらず頼りないまま。

どうなってしまうのかと不安になりながら読み続けていくと、ふふふと微笑んでしまうような、安心感のある結末なのでした。

オヅちゃんは、決して「ダメ教師」ではない。
人よりちょっと(大分?)トロくて、へたれで、要領が悪いだけ。
何事にも一所懸命で、真っすぐな男なのです!

そんな先生を、いつの間にか生徒たちが変えてあげようと変わっていく展開は、こんな優しい中学生なんて今時いないんじゃ…?と思うけど、ありなのかなって思う。

学級崩壊、家庭不和、登校拒否…と、内容は若干重いけど、笹生さんの描く話には本物の悪役はいない。

だから安心する。
世の中、捨てたもんじゃないよね?って。

笹生さんの本、オススメです。