No-music.No-life

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龍神の雨

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すべては雨のせいだった。雨がすべてを狂わせた。血のつながらない親と暮らす二組の兄弟は、それぞれに悩みを抱え、死の疑惑と戦っていた。些細な勘違いと思い込みが、新たな悪意を引き寄せ、二組の兄弟を交錯させる。両親の死の真実はどこに? すべての疑念と罪を呑み込んで、いま未曾有の台風が訪れる。慟哭と贖罪の最新長編。




道尾秀介さんの本です。

うわ・・・ヤバい。道尾さん、なんて凄い作品を書いてくれたんでしょうか。

内容も濃くて、厚めの本で、重い内容なのにぐいぐい引き込まれてしまいました。
気が付いたら、ページをめくる手が止められなくなっていました。


道尾作品の中で、私の一番はラットマンでした。
最後の最後まで、もうないだろう!と思う所にまで、大どんでん返しがある展開。

あの作品もかなり度肝を抜きましたが、本作は道尾作品のどんでん返しは勿論でしたが、家族とは何か?血の繋がりとは何か?そういう意味でも深い話であり、これだけ重苦しい内容であるにも関わらず、最後の温かな余韻はもう圧巻の一言でした。

どんでん返しは、流石に裏の裏の裏をかく程沢山あったわけではないのですが・・・それでも、相変わらず見抜けない私でした。

ミステリ作品では、登場人物の一人一人を注意深く気にしていなければならない。
それがどんなに脇役に思えるような人間であっても。

まさに、今作はその思いを強めましたよ。

まさかこの人が・・・・。


本多孝好さんの「チェーン・ポイズン」が好きな人は、絶対この作品も好きだと思います。
どんでん返しの精巧さは道尾さんの方が勝っているかもしれませんが・・・この結末に至るまでの意外性とスピード展開、そして温かなラストは通じるものがあると思いますよ!

ああ、久しぶりにかなり満足した。

かなり楽しみにしていた作品が、こうして物凄く良い物だ!と思えたので、更に満足感は二倍になりました。

ありがとう!道尾さん!

そしてこの作品で完全制覇してしまいました・・・。また再読しようかなあ。