冬也に一目惚れした加奈子は、恋の行方を知りたくて禁断の占いに手を出してしまう。鏡の前に蝋燭を並べ、向こうを見やると……。子どもの頃、誰もが覗き込んだ異界への扉を、青春ミステリの旗手が鮮やかに描きだす!
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辻村深月さんの本です。
辻村さんと言えば、「青春ミステリ」を描く作家さんというイメージですが、本作はなんと!ホラーでした。
しかしこれがなかなか…良いじゃないですか!
「踊り場の花子」、「ブランコをこぐ足」、「おとうさん、したいがあるよ」、「ふちなしのかがみ」、「八月の天変地異」の5編。
特にぞっとしたのが、「踊り場の花子」でした。
学校の怪談の定番といえば、花子さん。
この作品の花子さんは、階段に出る。怪談だけに!(←すいません…)
幾つかの禁忌、黄昏れ時の、現実とあちら側の境界が曖昧になる時間。
これだけ少ない登場人物だから、物語の真相に近付けそうなのに、恐怖感が勝って冷静な判断が出来ない…
無限ループの結末に、背筋が寒くなりました。
そして一番良かったのは、ミステリ作品に一番近いかな、「八月の天変地異」でした。
想像の中で実際にこんな子がいたら良いのに…と思う事はありませんか?
私は小説なんかで、そんな想像を駆使して人物を作り上げていたりするわけですが。
ひと夏の、一週間だけの奇跡。結末に思わず目頭が熱くなってしまいました。
ホラーも大好きなのだという辻村さん。
これからはホラーにも意欲的に挑戦してくれそうです。
惜しむらくは、短編という事でしょうか。
この長さでこれだけ余韻を残せるのならば、次回はぜひ長編または中編で楽しませて欲しいですね!
あーやっぱり辻村さんの作品が大好きです☆