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風が強く吹いている(文庫版)

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箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。




三浦しをんさんの本です。

ああ!やっぱりこの小説大好きだ。
三浦さんの作品の中で一番好きかもしれない(三浦さんの作品には、私は好き嫌いがあるので・・・)。

前回読んだで見せた、不確かな「希望」とは違う種類の希望を見出してくれる小説。
「光」のような重い話もかなり自分好みではありましたが、スポ根小説でこんなに泣きそうになったものなんてあっただろか。

同じスポーツものであれば、あさのあつこさんの「バッテリー」、佐藤多佳子さんの「一瞬の風になれ」、森絵都さんの「DIVE!!」などは群を抜いて素晴らしかったが、本書はそのどの作品にも劣ってない。素晴らしい。

たった10人の、素人同然の人間が箱根駅伝出場を目指す。。。現実に考えたらありえない。
駅伝出場をかけて、何年も何年も努力してきたチームであっても、きっとそんな簡単には出場できるはずはないだろう。

ただそんなありもしない事が起こってしまうのかもしれない・・・と思わせてくれるくらいに、本書には魅力が詰まっている。


書きあげるまでに6年の歳月を費やした・・・という解説にもあるように、作者がいかにこの物語をかきあげるために入念な取材と時間をかけてきたのかがよく分かる小説になっている。

私もたくさん本を読んで来て、駅伝の話を書いたものをいくつか読んだのだけれど、ここまで引き付けられた作品はあとにも先にも本作だけである。


正月に親戚の家で箱根駅伝を食い入るように見ている親戚たち。
私は全く興味がなく、何が面白いのだろうとずっと思っていた。

だけど、本作を読んで考え方が変わった。
テレビでは分からない、選手たちがいかに速いスピードで走っているのかを。

箱根で走るというただそれだけのために、どれだけの努力と時間をかけてきたのかに思いを馳せてしまうのだ。




この作品は、映画化が決まっておりますね。

私的に、キャストでイメージ通りだなあという人は走を演じる、林遣都君だけなんだけれど(他はあまり知っている俳優もいなかったりするのもあるけれども)、一体どうなってしまうのか、不安が大きかったりします。

ドラマ化された、「一瞬の風になれ」の出来があまりにも・・・・だったので、また、森絵都さんの「DIVE!!」も映画化されましたが・・・期待していたよりは・・・という感じだったので、どうかイケメンを推しただけの映画にはしないでいただきたい。

不安が大きいですが、見てみたいと思います。