No-music.No-life

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窓の魚

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秋のある日、二組のカップルが山の温泉へ向かう。一緒にいるのに遠い四人にまとわりつく、猫の鳴き声と不穏な影。裸になっても笑いあっていても、決して交わらない想い。男の子のようなナツ、つるりとした肌のアキオ。明るく派手なハルナ、ぶっきらぼうなトウヤマ。大人になりきれない恋人たちの旅の一夜を美しく残酷に描いた長編。

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西加奈子さんの本です。

何気に西さんの本を読んだのは久しぶりでした。

何冊か読んではいましたが、好きな作品と嫌いな作品があるという感じで、得意ではない作家さんだと思っていました([さくら]は名作だと思いますが!!)。
でも、今作は良いですね。
西さんって、こういう作品も書けるんだ!という驚き。

物語の冒頭から結末まで、漂う不穏な空気。

春夏秋冬の名前を持つ男女が、旅先の温泉宿での出来事をそれぞれの視点で語って行く展開の合間に挟む「事件」の証言。

物語の舞台は温泉宿が主。
四人それぞれの視点で語られるだけに、リンクしている場面が点在していますが、上手いです。

何となくすっきりしない、後味の悪さが物語の不穏な空気を増していて、私はこういうの、嫌いじゃないと思いました。