過剰追跡が原因で犯人の少年を死なせてしまった元刑事の須賀原。そんな彼が働くレンタルビデオ店に、奇妙な少年がやって来た。『シックス・センス』の DVDを見つめながら、ただ涙を流しているのだ。しかも毎日…。心に傷を負う元刑事と、“死者”が見える少年が、霊にまつわる事件を解決していくハートウォーミングミステリー。
日明恩さんの本です。
鎮火報に続いて2作目の、日明さんの本です。
ああ、この本・・・かなり良い意味で余韻の残る話でした。
「シックスセンス」の少年のように、死者の姿が見えてしまうという特殊能力を持つ少年と、自分の過失が原因で一人の少年を死なせてしまった過去を背負う元刑事。
とあるきっかけから、少年が見えるという死者の伝えたいことや、やり残した事を調査し、解決させる事に携わることになる。
日常の何気ないところで、常に霊の姿(しかも、出血していたり、頭が半分欠けていたり、かなり生々しい姿で)を見てしまう能力を持ちながら、それを誰にも言えずに何も見ていないように接しなければいけない少年の苦悩と、一人の少年を死に至らしめてしまうきっかけを作ってしまった男の関係は、少しずつ変化していきます。
実際かなり重い話でもあるのですが、それがただ重いだけの話になっていないところがとても良いです。
最初の数章では、男が何か訳ありの過去を持っているという印象を強く残しますが、元警察官であるとは語られないので、何か裏稼業または探偵とかそういう仕事をしていたのかな?と思って読んでいました。
最初の数章では、男が何か訳ありの過去を持っているという印象を強く残しますが、元警察官であるとは語られないので、何か裏稼業または探偵とかそういう仕事をしていたのかな?と思って読んでいました。
でも、少しずつそれが違うかも・・・と思えてきて、最終的には元警察官である事が明かされます。
重く巣くい続けてきた足枷が取れたことにより、この男がもっと普通に物事に対して楽しいと感じたり、笑顔を見せたりしてくれる日が来たこと、それが読んでいて何よりも救いでした。