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ワイルド・ソウル(下)

垣根涼介さんの本です。

上下巻の本は、やっぱり下巻から!と思ったくらい、下巻から一気に引き込まれてしまいました。

上巻は、主に登場人物達の過去が描かれるため(南米に移民するという政策が絡んだ生々しい現実だったりするので)、なかなか物語に入り込めない部分はありましたが…
下巻からは日本政府への復讐計画の実行に移り、スピード感が増していきます。

日本という国から、過去に受けてきた数々の仕打ち。
あの政策はなかったかのように揉み消され、認めようとはしない。

その行いを認めた上で、謝罪の言葉が欲しい--
そうすれば、捕われてきた過去からようやく抜け出す事が出来るかもしれない…

とてつもなく大それた計画。
実行犯の彼らは、それでも外務省の襲撃には人のいないフロアを狙い、関与した元官僚たちの誘拐でも決して自らの手では殺さないどころか、生き長らえるための方法まで伝えているーー

彼等がされてきた事は、酷いなんて言葉では言い尽くせないほどだ。
けれどそれを同じようにして返すのではなく、こういう形で、国民に日本政府が犯した罪を曝し、公の場で罪を認めさせ、謝罪してもらうという大それた計画を実行にうつしたケイと松尾。

また、思いがけない形でケイと関係するようになった貴子。
常々周囲の評判を気にして自分の内をさらけだせずに生きてきた貴子が、ケイとの関わりによって変化していく…
犯人、計画をを知りながらも口外することも出来ずに葛藤しながら、それでも信じた道を突っ走る。

垣根さんの描く、バリバリ働いている逞しい女性が本当に恰好良いのです!
貴子の存在が、生き生きとしています。

日本に存在した政策。
恥ずかしながら、全く知りませんでした。
歴史的な意味としても、考えさせられた話でした。

そして、文句なしに面白い、読みごたえ十分の一冊でした!
下巻から一気に引き込まれること間違いなしです。