No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

廃墟建築士

イメージ 1

廃墟は現代の癒しの空間。だが、人が住んでいる偽装廃墟が問題になり…。表題作ほか、ちょっと不思議な建物で起こる、奇妙な事件たち。現実と非現実が同居する、三崎ワールドの魅力あふれる4編を収録。




三崎亜記さんの本です。

三崎さん、実は結構好きな作家さんです。

今回も短編集なのですが、表題作廃墟建築士蔵守はなかなか難しくて、すっと話に入っていく事ができませんでした。
最後までその世界を理解出来なかったのが残念。

ただ、図書館は、以前短編集の「バス・ジャック」に収録されていた確か動物園という話があったのですが、そこで登場した特殊な能力を持つ女性が再び主人公となっております!

動物園はそんなに気に入った話ではなかったのですが、この主人公の女性は結構好きだったんですよね。
今度は図書館を舞台に、あの不思議な能力(?)を使って図書館に所蔵される本たちを解放します。

女性が所属する会社の社長との、とても淡いような淡々とした関係が、いつの間にか終わりを迎えていたり、「動物園」から数年経過したという設定だったため、そういった変化もあって、少し寂しかったですね。

七階闘争では、以前短編に収録されていた「覆面」の話もちらっと出てきたりして、三崎さんの作品には微妙なリンクがあって読んでいて嬉しくなります。


今回は全体的に読むと難しかった印象はあるのですが、現実世界と摩訶不思議な世界が混濁したこの独特の物語は、結構癖になりますね。

実際にこんなことがあるはずないのに、もしそうなったら・・と思わせてしまうちょっとした怖さがあったりして。

次作にも期待しましょう。