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クワイエットルームにようこそ

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薬物のオーバードーズ精神科病院に強制収容された明日香は、正常と異常を行き来する……。奇才が贈る絶望と再生の14日間―




松尾スズキさんの本です。

クワイエットルームといえば、映画化された記憶も新しいですが、自分も見ました。
蒼井優目当てなんですけどね。

あの映画は、ある意味で凄く印象に残りました。

ちりばめられた笑いにクスリと笑ってしまうのだけれど、それと同じ位にシビアな現実が織り込まれていて。
喜劇なのか、悲劇なのか、と問われたらどちらとも言えない感じ。

笑えたけれど重い話だった、と中途半端な感想しか言えません。

それにしても、本を読んで内田有紀の体当たりの演技に脱帽しました。
これは、生半可な気持ちでは出来ない役だなあと。


ひょんなことから精神科病院に収容されてしまった明日香の、濃厚な14日間が描かれております。

拒食症・過食症などの摂食障害オーバードーズ・・様々な疾患を抱えた患者たちの中で、自分自身の辿ってきた道を見つめなおす機会を得た明日香は、クワイエットルームから出る事、最終的には精神科病院から退院することを決意し、病院内での日々を過ごして行きます。

一度退院した患者が数日後に急患で運ばれたり、精神的に不安定な患者達の中で、自分だけはまともだと思いつつ、少しずつ何かが狂っていくような感覚―

その奇妙な14日間を、松尾さんはとても上手く描いてます。
上手いというと単純過ぎる言葉ですが、描写の細かさや明日香の心の動きをとても明確に表現していて、関心しました。

描写の上手さでいったら、本谷有希子さんもその代表かと思いますが、松尾さんも凄かった!という感じでしょうか。

映画を観ていたせいもあり、さくさく読めました。