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背の眼

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「レエ、オグロアラダ、ロゴ…」ホラー作家の道尾が、旅先の白峠村の河原で耳にした無気味な声。その言葉の真の意味に気づいた道尾は東京に逃げ戻り、「霊現象探求所」を構える友人・真備のもとを訪れた。そこで見たのは、被写体の背中に二つの眼が写る4枚の心霊写真だった。しかも、すべてが白峠村周辺で撮影され、後に彼らは全員が自殺しているという。道尾は真相を求めて、真備と助手の北見とともに再び白峠村に向かうが…。未解決の児童連続失踪事件。自殺者の背中に現れた眼。白峠村に伝わる「天狗伝説」。血塗られた過去に根差した、悲愴な事件の真実とは?第5回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。

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道尾秀介さんの、デビュー作です。

ちょっと、デビュー作なのに面白いってどういう事よ!
と叫びたくなるくらい、個人的にかなり面白いと思った作品でした。

元々は、1,200枚にも及ぶ大作だったらしいですね。
刊行するにあたって、頁を大分削る事を条件に特別賞受賞となったそうです(綾辻さんの解説によると)。

確かに、この分厚さで上下段になっている時点で挫折しそうになりましたけど、冒頭数ページを読んだ時点で、私はすっかりこの物語に入り込んでいました。

書評では割と厳しい意見が書かれておりましたけど、一読者として、デビュー作でこれだけの作品を書いてしまった!ということが、とにかく凄いとしか言いようがありません。

数々ちりばめられた、心霊現象のような、不可解な出来事。
それに携わり、事件の解明をする主人公達のキャラクターもさることながら、これだけ長い文章を最後まで飽きさせず、それよりもどんどん惹きこんでしまうこの文章力と物語の内容に関心するばかりでした。

主人公が道尾と名前なのと、真備の京極夏彦の影響をかなり受けていますよね!?というキャラクターも、慣れてしまえば好意的に受け止めている自分がいました。

世の中、なんなんでしょうね。
デビュー作で、これだけのものが書けるなんて。。凄すぎます。

個人的に、今まで読んだ道尾さんの中で一番面白いと思いました。