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和宮 後世まで清き名を残したく候

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江戸無血開城と徳川家存続、女子の本懐ここにあリ―
幕末の動乱の中、朝廷と幕府の公武合体のため、既に婚約者がいたにもかかわらず、徳川家茂へ降嫁した和宮。習慣の違いなどで一時は大奥で孤立したものの、戊辰戦争の際には天璋院篤姫とともに徳川家存続のため奔走、江戸無血開城に尽力した。芯の強き女性の生涯を描く。

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辻ミチ子さんの本です。

何だろう……ページ数はそんなに多くないのに、めちゃくちゃ読み終わるのに時間がかかった気がします。

前回読んだ、「天璋院和宮」が読みやすかったので、本書の読みにくさに大変苦戦してしまいました。

けれど、和宮という題名なだけあって、他の本には書かれていない事柄や、和宮側から(贔屓目に見ている感じでしょうか)話が進められていくので、違った目線で見る事が出来て、内容にはそこそこ満足。

また、資料として和宮や関わった様々な人物の写真、肖像画、風刺絵、建物の写真など、目でも楽しませてくれる一冊となっています。

ただ、一つ言うのならば、和宮の句や、書状、庭田継子の「日記」、幕府や朝廷とのやりとりなど、解説は加えられつつも、ほぼ原文のまま載せているのですが、それについて現代語訳がないことで、理解出来ない部分が多々あって、残念でなりません。

公家特有の言葉や、当時の言葉には、現代では使われていないものもあるので、読めるけれど内容が分からないんですが!と思う部分が多かったのが切なかったですね。

うーん、もっと読みやすい和宮の本はないのだろうか。

色々読んでみたいです。

でも、本書では天璋院和宮に頼りきっていたとか書かれていて、何だか不思議な感じでした。

大河ドラマで話題になり、知名度も高まった天璋院は、聡明で女であることが勿体無いくらいに素晴らしい人物だった、という感じで伝わっており、幾つか読んだ本でもそのように描かれている事が多かったのですが、天璋院側から描いた和宮の存在は、何処かぼんやりと曖昧な印象を与えられていました。

けれど、公家と武家との違いはさることながら、早くに夫に先立たれ、幕末の混乱期に人の上に立つ立場で決断を迫られた天璋院和宮の境遇は、驚く程よく似ています。

明治期になると、ようやく和解し、お互いが良き理解者となったという二人ですが、天璋院の陰に隠れがちな和宮も、実はこんなに力を尽くしていたのだぞ!という事実を、深く知る事が出来た一冊ではありました。