No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

はるがいったら(文庫版)

イメージ 1

寝たきりの愛犬と迷える姉弟の青春物語
両親が離婚し離れて暮らす姉弟。完璧主義の姉・園は不毛な恋愛にはまり、体が弱く冷めた性格の弟・行は進路に悩んでいる。寝たきりの愛犬・ハルを間に揺れる二人。第18回小説すばる新人賞受賞作。

*-*-*-*-*-*-*

飛鳥井千砂さんの本です。

この本、実は以前単行本で読んでいたのですが、今月の集英社文庫の新刊情報を中吊り広告で見て、「あ!」と思って購入してしまいました。

地元の図書館で、誰にも借りられずひっそりと置かれていた本でした。
何となく装丁に惹かれて借りてみたら、予想以上に自分好みの本だったので凄く印象に残っていました。

読んでしばらく経つ気がするのですが、再読してみても良いなあと思ったのは変わりませんでした。

なんていうか……
私が書きたい小説は、こういう雰囲気やこういう話なんだよ!と誰かに力説したくなるような、そんな小説ですね(笑)

目元以外は似ている顔なのに、猫のような少しきつめの目をした、背が高くて細くて、何事にも手を抜かない完璧主義を貫く着道楽の姉の園(その)。反対におっとりとした優しい目を持つ、何でもそこそここなし、物事に熱くならずに諦めることが身についてしまっている弟の行(ゆき)。

対照的な性格の姉弟
両親は離婚し、園は母と家を出て行き、行は父と、再婚した義母と義兄との4人暮らし。
幼い頃に公園で拾った犬のハルを、今は部屋の中で介護しながら毎日を過ごしている―


とにかく、この姉弟が魅力的です。
そこで、姉サイド弟サイドで語りがあり、ハルが加わり・・

なんてことはない日常なのに、ちょっぴりほろ苦くてそして最後は温かい気持ちになれる。

とてもお薦めの一冊です。


ちなみに。
文庫版の装丁は、あのいくえみ綾さんが担当。
イメージ通りの園と行のイラストが、とても可愛らしいですよ。